二百文字小説「煩悩の人」

第五百七十三話

　今日は後輩と飲み会。

　ルンルン気分で居酒屋に。

「先輩、お久しぶりです」

「いやあ、何だか恰幅がよくなったなあ」

「はい、十キロ太りまして」

「大丈夫かい、そんなに太って」

「ええ、デスクワークになったもんで」

「そうか、部長さんになったって」

「退職近いので上げてくれました」

「いやいや、君なら当然だよ」

「そう言ってくださるのは先輩だけですよ」

　こういう会話、嫌いな奴とは嫌味だけだが。

　君とはすんなり出るんだよなあ。