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第五百四十話

 春といえどもまだ寒い。

 庭のチューリップは芽も出さない。

 いつもはもう可愛い緑の芽が並ぶのにな。

 水仙は去年より沢山咲いている。

 可愛いな。

 珍しく妻が庭で何かしているな。

「何してるの?」

「ちょっと、花でも部屋に飾ろうと思って」

「え? なんの花?」

「水仙」

「ダメだよ、やっと咲いたんだから」

「だって、いっぱいあるもん」

「ダメです!」

「じゃあ、これにするわ」

「何?」

「あなたにそっくりのネギボウズ」


 確かに似てるな。

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