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第五十四話

 傘の骨から外れた布。

 一カ所だけなのにどうしてこんなにもみすぼらしく見えるのか。

 安いビニール傘の方が良く見える。

 

 そう言えば朝から嫌な予感がしていた。

 髭剃りの電池は切れるし、新聞は下が濡れていて開けにくかった。

 卵焼きは家内がしっかり焼き過ぎて私の好きな半熟じゃなかった。

 すると、前を歩く女性がハンドバッグからハンカチを落とした。

 そこは水溜り。

 私のをどうぞと差し出す。

 美人じゃないか。

 

 今日の運勢は大吉だな。

 

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