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第五百三十七話

 ほいほいっと、水たまりをよけながら歩く。

 ビシャン。

 くそ、前は平気で跳べてたのに。

 ズボンに染みが。

 下を向いて拭きながら歩く。

 ゴツン。

 目から火が出た。

 電柱が目の前に。

「くそ、なんて日なんだ」

 泣きたい気持ちだ。

「ただいま」

「おかえりなさーい」

 妻がばっちり化粧している。

「どうした?」

「あら、忘れたの? 今日は結婚記念日じゃないの」

「あ、いや、覚えてるけど、今日だった?」

「それを忘れてるって言うの!」


 厄日だ。


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