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第五百三十六話

 洗濯物が飛びそうなほど風が吹いている。

「あー」

 妻の声。

「飛んだー」

 やっぱり洗濯物が飛んだか。

「あなた、ちょっとー」

 確定申告の数字を打つのに忙しい。

「パソコンから手を離せない」

 きっと洗濯物を取ってと言うんだろうけど、取れるだろう。

「あなたーってば」

「なんだよ」

 仕方なく下りていく。

「ほら、見て」

「何が」

「あなたのパンツが隣の庭に」

「取ってきてよ」

「無理、あんなとこ」


 ハクモクレンのてっぺんでなびいてる。

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