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第四百五十四話

 外まで聞こえるあの声は家内の歌。

「ただいま」

「おかえりなさい~」

「随分ご機嫌だな」

「は~い、そうなのよ~」

「歌で返事しないでよ」

「これが届いたの~」

 家内の手には古い映画のビデオ。

 南太平洋、雨に唄えば、ウエストサイド物語、メリー・ポピンズ、シカゴ……。

「どうしたの、買ったの?」

「ううん、友だちが韓国ドラマでビデオの棚がいっぱいになったからくれるって」

「ふーん」


 そして十日。

 僕の耳は難聴になりそうです。

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