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第四百三十三話

 朝から鼻歌が聞こえる。

「あなた、行ってきます」

「どこへ」

「村上さんとデパート。彼女なんか買う気でいるの」

 村上さんが気の毒だ。

 いつも名前を使われて。

「お昼は冷蔵庫に昨日の煮物が残ってるから」

「はいはい、三日目の筑前煮。作りすぎだよ。顔までゴボウの色になりそうだ」

 という声は聞こえないか、あっという間に出かけて行った。

「じゃ、僕もビールでも」

 冷蔵庫にあるはずのビールがない。


 僕の寝てる間に飲んだ人がいる。

 

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