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第四百十二話

 「ちょっとごめんなさい」

 私の周りを掃除機を掛ける家内。

「ほら、足を上げて。下に埃が」

 場所を移動してもすぐやって来る。

「そんなに僕の周りばかり掛けるなよ」

「いいえ、埃が気になって」

 コードが足にまとわりつく。

「わかった!」

「あら、何?」

 家内の目が鋭く光る。

「結婚記念日だったね。何か買いに行こうか」

「いいのよ、どうせ私なんか」

「何がほしいの」

 すぐに渡された宝石店のチラシ。

「僕には?」

「深い愛情」

 ずるい!


 

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