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第三百九十二話

 眼鏡がない。

「おーい、私の眼鏡知らないかい」

「洗面所じゃない?」

 洗面所だって見たのにない。

「ないんだけど」

「寝室じゃないの?」

 そうかもしれんな。

 二階のベッド周りを見るがない。

「ないよ」

「私は洗濯物干してるのよ。一人で探して」

「ああ、ごめんごめん」

 えーと、朝起きてしたことを思い出す。

 トイレも見た。

 ない。

 次は新聞を読んだっけ。

 そうだ、食卓か。

 ない。

 新聞はある。

「ないの?」


 振り返ると家内の顔に私の眼鏡。

 

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