二百文字小説「煩悩の人」

第三百八十話

　こたつを片づけたら寒い。

　いつもそうだ。

　だが、部屋がすっきりとしている。

　でも寒さには勝てない。

「ねえまたこたつ布団出してよ」

「それがダメなの」

「なんで」

「クリーニングに出しちゃった」

「なんでこんなに早く」

「だって、三割引きだったんですもの」

「あーあ、エアコンだけだと寒いんだよなあ」

「これがあるわ」

　家内が出してきたのは袖のある毛布。

「暖かいけど真冬みたいだなあ」

　すっきりしたはずの部屋がまた雑然となる。