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第三百十四話

 家内が朝からブレスレットをつけている。

「どこかへ行くの?」

「違うわよ、これ、パワーブレスレットなの」

「なんだ、それ」

「運気が上がるのよ」

「へえ、いくら?」

「四千八百円」

「ふーん、宝くじでも買ったら」

「そんな、すぐお金で考えるんだから」

 じゃ、どんな運気があるんだろう。

 玄関でガチャンという音。

 家内が転んだらしい。

「いたーい!」

「運気が上がるんじゃなかったのか」

「だから、怪我しなかったのよ」


 そうかなあ。


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