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第三百十話

 「無理よ、無理ですったら」

 無理と言いながらも、声が明るい家内。

「そんな白雪姫に出るなんて」

 それは無理だ!

「あら、そうかしら」

 あれれ、その気なのか。

「そう? じんが喜ぶなら」

 受話器を置くと、家内が小鼻をぴくぴくさせて近寄ってくる。

「頼まれちゃった。断ったのに」

 いや、あれはオーケーだろう。

「何に出るの?」

「幼稚園のママたちの劇に。娘の代わりにですって」

 そうか。

 また電話が鳴った。

「え? お后様?」


 やっぱり。

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