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第二百八十八話

 「こんばんは」

 あの声は我が家の婿殿か。

「あ、宏さん、いらっしゃい」

「あの、これ、貰い物なんですけど」

「すごい花束」

「ええ、喜ぶと思ったら匂いが嫌だから持って帰るなって」

「あらまあ」

 見事なカトレアだが、その香りがつわりには苦手だとか。

「立派な花束だね」

「ええ。実は部長がいただいたんです。でも飲みに行くのに邪魔だからって僕に」

 部長はそのまま夜の街に消えたらしい。


 一度に我が家の玄関がゴージャスになった。

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