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第二百七十九話

 お歳暮が来た。

「あら、あなた牛肉よ」

「ほう、誰から」

「金持ちの鈴木さん」

「金持ちは余分だ」

「だって、大企業の社長さんだもの」

「うん、同級生では一番の出世頭だな」

「これ、一万はするわよ」

「そうだな、霜降りだ」

「お返しに困るわ」

「いいよ、うちはうちだから」

「そうね」

「そうさ」

「ちょっとデパートに行ってくる」

 家内はいそいそと出かける。


 二時間後。

 袋を抱えた家内が戻ってきた。

「何を送った?」

「あ、忘れてた」

 

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