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第二十六話

 雨に濡れながら自転車で走る男子高校生。

 ああいう姿を見るとたまらなく愛おしいわ。

 窓から歩道を眺める。

「あら、あれは?」

 良く見ると夫じゃないかしら。

 何だか寒そうね。

 傘を忘れたの?

 あれほど持って行きなさいって言ったのに。

「フエークッション!」

 くしゃみをしながら玄関に入る夫。

「お帰りなさい」

「ただいま。濡れちゃったよ」

「雨が降るって言ったでしょ。はい、タオル」

 背中に手が届かないのね。

 

 別の意味で愛おしいわ。

 

 

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