二百文字小説「煩悩の人」

第百八十九話

　家内と二人で外食することにした。

「あら、お母さんたち、どこに行くの？」

　そこへ来た娘は昔から鼻が利く。

「今日は暑いし、もう作るのいやって言ったの」

「あら、お父さん優しいわね」

　そう言われると、ついこう言ってしまう。

「お前たちも行くか？　宏君は？」

「うん出張なの」

「おじいちゃん、僕ラーメン」

　じんは安いものだな。

「私はフカヒレ」

　娘には遠慮というものはない。

　家内と私は餃子とビールから。

　食欲の春夏秋冬の我が家。