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第百八十五話
クラシック音楽を聞きながらコーヒーを飲む。
至福の時だ。
テーブルには文庫本。
籐椅子にゆったりと座り、庭を眺める。
庭には家内が植えた日日草がかわいらしく咲いている。
レースのカーテンがひらひらと舞う。
実に気分がいい。
「あなた~」
家内が二階から呼ぶ。
「なんだい?」
「ちょっと」
「どうした?」
「衣装ケースを持ち上げたらぎっくり腰に」
重い家内をやっとベッドへ運ぶ。
「これでは私もぎっくり腰になるぞ」
ほら、なった。