二百文字小説「煩悩の人」

第百六十二話

　あら、痩せたのかしら。

　新しいボディスーツがすっと入る。

　そう言えばこの頃体が軽い感じがしたのよ。

　夏痩せなのね。

　それともダイエットの効果がやっと現れたのかしら。

　これでも結構気を遣ってご飯だって八分目にしてるし。

　おかずだって夫よりは少なめよ。

「ねえ、私この頃ちょっと痩せたでしょう？」

「どこが？　足首か？」

「こういうデリカシーのない人といると気苦労が絶えないのよ」

「値札に３Lって書いてるぞ」

　サイズ間違えた。