二百文字小説「煩悩の人」

第百三十七話

　近所のレストランへ娘の家族と出かける。

「さあ、何でも注文しなさい。宏君ビールは？」

「いただきます」

　じんはお子様ランチとジュースを注文している。

　娘と家内と宏君はフライセットと唐揚げとパスタとビールにサラダ。

　私はソーメンに枝豆、そして冷酒。

「お父さん、何だか僕たちばかりが食べて悪いですね」

「いいんだよ、私はあっさりしたものがいい」

　するとじんがそっと耳元で言った。

「二十円貸してあげる」

「お金はあるの！」