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第百十六話
寝違えてしまった。
首が回らない。
まあ、金もないけど。
「あなた、ちょっと見て」
家内が花を生けたようだ。
だが、首は左に回らない。
「いたたた」
「どうしたの?」
「寝違えちゃったよ」
「あらまあ」
飾られた花を見ると、アジサイが美しい。
「いいじゃないか」
「でも、そんなに頭を傾げると褒めてもらってる気がしないわね」
「そんなこと言ったって」
「これ貸してあげる」
チタンが入ってる首輪。
「何だか犬みたいだな」
「ジョン!」