前へ目次 次へ 10/612 第十話 「大変、忘れてた」 階下からの家内の声にまたかとため息をつく。 大体覚えておこうという気があるのか。 人の話を聞かないといつも叱られるのは私だが、私の話は半分も聞いていない。 「何を忘れてたんだ」 返事がない。 仕方がない、下りるとするか。 二階から下りて家内を探すと鼻歌が聞こえてくる。 風呂場の鏡の前に、顔中泥を塗った家内がいた。 「何だ?」 「泥パック」 見れば分かるが効き目はあるのか。 「明後日、同窓会なの」 ちっ!