第2話
第2話です。
いよいよ意味不明です。
よろしくお願いします。
加山が帰った後も、俺はパソコンに向かい続けていた。ゴミだらけの部屋には目もくれず、ひたすら編集作業を続ける。
作家がプライベートなど気にしてどうする。
表現者になった時点で、そんなもの捨てやがれ馬鹿野郎。
そんな職人気質な言い訳を頭に浮かべつつ、俺はキーボードを打ち続けた。
しかし・・・・・
「・・・・う~ん・・・・」
果たしてこれはいいのだろうか?今までの作品に比べると、ドロドロ度が足りない気がするが。
探偵が犯人の気持ちを理解するため人を殺す話とか。
総理大臣が「全ての人を幸せにしたい。そのためには罪人の気持ちも理解せねば」とかなんとか言って殺人を犯す話とか。
それらの過去作品に比べると、ドロドロ度が足りない。
極度の心配性の男が、溺愛している女を他の男にとられたくないために殺人を犯す―ドロドロっちゃあドロドロだけどな・・・・・安っぽい昼ドラの、発展系のような気がしてならない。
それに何より、俺は恋をしたことがない。
他の誰かにとられたくないくらい誰かを好きになったことが、無い。
そんな奴が(曲がりなりにも)恋愛小説書いてもなぁ・・・・
この作品を発展させるためには、俺自身のプライベートが必要になってしまうだろう。小説の為になら、しょうがないかな・・・・・
あ、でもそしたら、俺は愛した女を殺すところまでしなければいけないのか?
つーかそもそも、恋ってどうすればいいんだろ?
「・・・・・・分かんね」
小説以外のことを考えるのは、非常に苦手だ。発想を転換させて考えよう。
え~とえ~と・・・・・
「・・・・・あ」
そうだ。
無理にプライベートで恋愛しようとするから困るのだ。
こういうときは、過去の名作から学び、恋愛をした気分になって。
そして俺の作品を発展させようじゃないか。
そんなわけで俺は。
自宅のボロアパートを出て、書店へと向かった。