第1話
初の投稿作品です。
はっきり言って、つまんないです。
支離滅裂です。
それでも読めるという強者の方は、読んでいただければ嬉しいです。
『男は言った。
「僕は君のことを本当に愛している。君のその美しい瞳で他の物を見て欲しくない。君のその美しい手で他の物に触れて欲しくない。 ―だから」
男はおもむろにナイフを出し、女の喉元に突き立てた。紅い血が溢れる中、男は狂気の笑みを浮かべていた。そしてそこから動かず、いつまでもその場に佇んでいた。自分だけの物になった女の美しさを、確認するかのように―』
「・・・・こんなもんかな」
俺はそこでキーボードを打つ手を止め、ゴミだらけの汚い部屋へと視線を移した。汚い部屋だが、別に掃除する気にはならない。作家―しかもこんな作品を書いている俺―にとって、自らのプライベートなことほど無意味な物はない、と思う。そんなものがあったら、こんな話は書けないだろう(多分)。
俺がそんなことを思っていると、扉をノックする者がいた。
「いやー、ごめんごめん、野田君。渋滞に巻き込まれちゃって、ちょっと遅れちゃったよ」
小太りの、いかにも無能感溢れる中年が、ずかずかと上がり込んできた。しかしこんな顔と体型をして、仕事は意外にもやるのだから侮れない。そもそも作家の俺を本名で呼ぶ人なんて、両親以外にはこの人しかいないだろう。
そんなわけで、 加山道敏。
俺の担当の登場だった。
「相変わらず汚い部屋だ。掃除とか、少しはしたらどうだい?」
「小説書いてたら、そんな暇ありませんよ。つぅか、そんなことしてたら、小説書けなくなります」
俺はやや苛立ちにも似たトーンで言葉を返した。作家に一般常識が通用しないこともあるって、いい加減分かってくれや。これさえ無けりゃ、もう文句はないんだが。
「あー、そうだったね、ごめんごめん」
俺の声のトーンで俺の言いたいことを察したのだろう、加山は少し申し訳なさそうな表情を浮かべた。分かればいいんだ、分かれば。
「・・・・・原稿、受け取ってもらえます?」
「ああ、じゃ、受け取るよ」
加山はにやりと笑い、原稿を受け取る。そして言った。加山にだけ許される台詞を。
「 地獄谷君」
この儀式(?)は加山が必ず行うものらしい。原稿を受け取るとき、作家をペンネームで呼ぶことで、次回作へのモチベーションを高めるとか、高めないとか。
まぁそんなものはただの建前で、実際はゲン担ぎとか、そんなとこだろう。
まぁ、それはそれとして。
「・・・・次回作も、頑張りますよ」
作家、地獄谷涼。
名前を呼ばれた俺は、なんだかよく分からない相槌を打って、再びパソコンへと向かった。