花曇り
翌日も花曇りの朝だった。
雪華は入学に備えのため、市内のデパートへ行くことにした。祖母と朝食時に告げた。「今日買い物に行くんだけど、何かある?」 祖母はその問いには返事せず、逆に私に問いかけた。
「お母さんの墓参りはいつにする?」雪華は少し瞼を伏せ気味に「寮に入る前に行こうとは思っている」「おばあちゃんの都合にあわせるよ」その後、しばらく二人とも無言で食事をした。
母の命日は、桜が散り始めることだった。なので、雪華は桜を見るとどうしても寂寥の思いを感じてしまう。桜は別れをイメージさせてしまう。
でも、母は桜の花が好きだった。祖母の家の庭にも桜が植えてある。窓から桜が見える。母は離婚後に精神の変調をきたしていたが、桜の咲き始めは、日がな一日桜を眺めていた。
母は花が好きだったが、この桜の花に何か思い出でもあるのだろうか?可憐な淡いピンク色した花に自分との思い出はなかったはずだが。
出かけるため着替えた。今日は肌寒いためオフホワイトの長袖のランタンスリーブで背中にリボン結びのワンピースを着た。鏡を見るとそこにはヘーゼルアイを瞳がある。
祖母が北欧系のハーフのため、孫の雪華も髪が明るい茶色で、色白で透明感のある肌、鼻筋が通り可憐で涼しげな印象を与える。
しかし、雪華は自分の容姿が好きではない。小学校ではみんな黒髪で自分だけが異質の存在であると感じていた。事実いじめもあった。
だが、成長するとしたがって美少女になると好意を向けられるようになったが、そこには性的な悪意もあった。だからなのか、他人の目が気になるようになった。
昼前に近所に住んでいる母の弟の嫁の叔母が車で迎えに来てくれて、市内まで送ってくれた。
叔母が「昨日はごめんね、旦那も休みが取れなくてね。一人で手続きに行かせて」少し申し訳なさそうな表情で言ってきた。
「大丈夫だよ、問題なく終わったし荷物はこれから送るだけだから」つとめて明るい感じで返答を返した。
叔母は「帰りはどうするの?電話くれたら迎えに行くけど」
「いいよ、何時になるかわからないし、バスで帰るつもりだったから。送ってくれてありがとう」と言って車から降りた。
市内のデパートに行き、これからの勉強に参考書を買うため書店に足を運んだ。休日なので買い物客は多く、人混みの中に昨日見かけた人を見つけた。
声をかけられた愛らしい少女と冷たい印象のある長身な青年がレジ前に並んでいた。少女は嬉しそう青年に話しかけているが、青年は素っ気ない態度に見えた。
あまりにも見すぎていた為か、青年がこちらを一瞥した。慌てて視線をそらし、その場から離れた。
(びっくりした、目が合ったような?別に知りあいでもないし勘違いよね)
参考書の棚で目的の本を購入した。そのままデパートの中を見ていたが、最後にデパ地下で祖母のお土産を買おうと向かった。




