友からの提案
親友となる凪君とのからみです
凪を避け続けて、1週間たった。その間、彼から接触はなかった。
放課後、凪はすでに体育館近くの花壇に到着していた。慌てて駆け寄り、それからは、2人とも無言で土を掘り、花の苗を植え替えるなどの作業をした。
一段落つくと、凪から飲み物を渡されて休憩を提案され、渋々近くの開いているベンチに隣同士に座った。
凪が口火を切る。
「まず先に、謝罪させてくれ。あのあとに君の同室の子に怒られたよ」
「僕と話した後に寮に戻ってからの君は、顔色も悪くて食事もせずにそのまま寝て、夜中に眠ってまま泣いていたと聞いた。彼女から雪華に何の恨みがあるの!どうしてなの、早く謝ってねとも言われたよ」
鼻を指でこすっている凪が、申し訳なさような表情を弁解している。
正直、琴葉がこんなに心配してくれた事に心から感謝しかない。ありがとうね。
「気分が悪くする話をして申し訳ありません。でも、本題はこれからなんだよ」
凪は口角を上げた。また傷をつけられるのではないかと思わず身構える。
「実は、、、、仮の彼女になって欲しい、これは君にも得があると思う」
意外な話に鳩が豆鉄砲を食ったようにポカンとしてしまった。
「えっ、なんで?」
「自信過剰と言われると嫌なんだけど、僕って少し顔がいいから、入学してから告白されることが多くて、まあ男女問わずだけど、、、」
凪は苦笑いして困った表情をした。それは、初めて見る表情なので、さらに驚いてしまった。それに男性からもなんて不憫すぎる。
「本当に面倒だ、あいつら不躾で、挙句の果てには付きまとわれているんだ」
今度は心底嫌そうに言った。
その時、視線が体育館の扉に居る人を捉えた。飲水している後ろ姿のは、長谷川雅斗らしき人影だ。休憩時間なのか、意識が凪から離れた。
凪も体育館を一瞥して、また話し出す。
「君は今、誰か好きな人がいるの?」
私は首を振る。
「じゃあ、長谷川先輩のことはどう思っているの?」
その質問に首を横に傾げた。なぜ?急にこんな質問されるの?
「別に、何にも思ってないよ」
「でも、君よく先輩を目で追っているよね」
ハッとして、そう言えば見ていたなと今ごろ自覚した。なので説明する。
「長谷川先輩って、凛々しくて美人なんだもの。つい目が吸い寄せられるというか、みんな綺麗なものは好きでしょう。先輩は後光が差している仏像みたいなの。だから、美術品を鑑賞しているような見ていたかも」
本人には聞かせられない。失礼すぎる。
「先輩が、、、美人、、、仏像、、、、、、、アハハハ」
急にツボに入ったのか、凪は大声で笑いだしてしまった。
その時、遠くにいた先輩が、ゆっくりとこちらを振り返った。慌てて口を閉じた。笑い声が五月蠅かったかな。また、話しの続きを小声でする。
「だったらいいよね、偽物の彼女になってよ、この通り助けると思って」
暫し考える。今のところ好きな人はいない。私も告白されたこともある。ああいった人は好意の押し売りをして、断ると私を非難する。あぁ 本当に心から面倒だ。凪と交際すれば、、、そうだ、お互い助け合いの精神で、お互いメリットがある。それに、凪は安心できる相手で男女の関係にはならないだろう。まるで、深夜のテレビショッピングを即決する買い物するおばちゃんだ。凪に明るく了承の返事をした。
「わかった。いいよ、本当は友人だけど、仮の彼女役ならOK」
「当然だけど、体の接触はダメ!セクハラ絶対ダメ!」
「了解です。断られたらどうしようかと思っていたから、本当にありがとう、これからよろしく、あと名前で呼ぶからね。雪華」
何んとなくあっさりと決まった。
「こちらことよろしく、凪」
2人とも笑顔で握手した。作業を止めて二人は寮に帰るため、その場を離れた。
もう体育館の扉には誰もいなかった。




