桜の季節
初めての投稿です。緊張しています。
あの人に出会ったのは、桜が咲き始めた季節だった。
いや、出会ったのは間違いで、私は校庭いるグループの中にいる一人の男に見惚れしまった。遠目でもわかる立姿で、長身で目鼻立ちすっきりしており、男性には失礼だが、綺麗な顔貌の持ち主であった。しかし、まだ少年の面影もあるが、切れ長の目は氷のような目をしている印象でなぜだか強く引き寄せられた。
この日は3月の下旬ではあるが、季節が逆戻りしたか、指先まで冷たく曇天の陽気であった。
私、望月雪華は、寮のある進学校に合格して、一人で手続きに来校した。両親は小学5年の冬に離婚して、母は間を置かずに他界した。
そして、父親は母と離婚してすぐに再婚した。今は海外勤務をしている。親の離婚後は雪華は母方の祖母と暮らしていたが、高校から家まで遠いため入寮することに決めた。
周りを見渡せば保護者同伴で来校する家族の中で、一人でいるのは雪華だけであった。
(おばあちゃんは風邪を引いているし、叔父夫婦のどちらも都合が合わなかったからしょうがないか)
何となく心細くなり校庭の隅にある桜の木の下へ行き見上げながら、これから先のことを少し考えていた。
「一人なの?」と声をかけられた。透き通ったでかわいらしい声が聞こえてた。
自分が声をかけられたとは思えず、心あらずだった雪華は、はっとして横を向いた。
そこには先程遠目で見かけたグループに中にいた少女だった。
その人は目見麗しく毅然とした印象で、なぜだか気おくれしまい、小声で「はい」と答えた。
「ごめんなさいね。私は生徒会のものでお手伝いをしているの。手続きはあちらのA校舎1階の会議室よ。わからないようなら案内するけど」
申し訳なくなり「いいえ、大丈夫です。ありがとうございました。」お辞儀して足早にその場を去った。少女の後ろに何人かの生徒の中で、さっき見かけた青年と一瞬目があったような感じがしたが、気のせいだと思い前に向けた。
グループの4人から雪華の背中を見られているのも知らず、目的の場所に急いだ。
「あの子大丈夫かな?」声をかけた少女は、3年の高橋佳緒理で生徒会の書記である。春休みではあるが、新入生の手続きの手伝いに駆り出されている。
「一人で来るの、珍しいね」柔らかな面差しがある男生徒は、生徒会長で3年の春野大介である。
「早く戻ろう」少しイライラした声で出したのは、会計の白石淳一である。
「そうね、雅斗 早く行きましょ」玲奈が声をかけた青年は、生徒会副会長の長谷川雅斗で雪華が見惚れていた人であった。4人は羽崎市の中で資産家の子供たちで幼馴染でもある。4人は校舎の中に足を向ける。雅斗は雪華を一瞥して歩みだした。
この高校は県内でも有名進学校ではあるため、他県からの生徒のために寮が完備されている。雪華はどうしても通えないほどではないが、電車での通学は嫌であり、祖母の負担を減らすことと学業に専念するため寮を選んだ。再婚した父親は養育費は出しているが、雪華はどうしても奨学金をもらいたいと考えている。
(あの父親に借りを作りたくない。どうしても)
もう何年も父親を会っていない。父親は資産家であり、子供も教育費などは余裕で支払いできる立場である。しかし、両親の離婚と母親が亡くなり、父親は離婚後すぐに再婚をした。
元々幼いころから両親の不仲は感じており、父親が家に帰ってくることは少なかった。なので、肉親という意識が雪華はなく、母親を苦しませた人だと思っている。
手続きが終わり寮の説明も聞き、雪華は一旦祖母の家に帰宅する。次は入寮日になる。「今度来る時まで桜咲いているかな」校庭にある三部咲きの桜を背に歩き出す。
誤字脱字がありましたら、すみません。




