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『二人の魔法使い』1/7

話は細かく区切って投稿します。

映画を見ているような世界観を目指して書いてます。

リアルで緊張感のあるダークストーリー。

初めて書くので変な所があれば教えて下さると助かります!新入りですがよろしくお願いします!

今思えば、すべてはこの日から始まった。

現実界では年に一度のクリスマス。街はまるで星の海のように光り輝き、イルミネーションが夜空を優しく照らしていた。あちこちから笑い声が溢れ、幸せそうな人々が行き交う。

現代では、魔法界でもクリスマスを祝う人々が多くなり、一緒に行事を楽しむため、多くの魔法使い達が現実界に足を運んでいた。

——誰もがこの日だけは、明るく、美しい世界を信じていた。


 だが、その光の裏には、闇を望む者たちもいる。幸福を壊し、穢れた世界を見ようと、己の命すら差し出す者たち。そして、その闇に立ち向かい、命を賭して人々を守ろうとする者もまた存在した。——たとえ、“守るべきもの”が本来なら逆であっても。


――雪が静かに降り始めた夜23時。

ここは郊外の工場地帯。東京の海沿いにある

東京臨海化学工業とうきょうりんかいかがくこうぎょう

主な業務は石油化学製品の精製せいせいと工業薬品の開発。プラスチックの原料や触媒しょくばい、合成燃料の試験など、人々の生活を支える「見えない素材」を作り出している。――表向きは。


現在の時間帯、稼働しているのは現場のみ。管理棟は灯りが落ち、ほとんど無人だった。

静まり返る夜の空気に混じって聞こえるのは、機械の低いうなりと蒸気が抜ける音。

まるで工場そのものが呼吸をしているかのようだった。


そんな中、薄闇うすやみを裂くように二つの影が音もなく忍び込む。その手には魔杖つえが握られていた。


「……石油臭いな、ここは。」

鼻下の髭を擦りながら低く押し殺した声で言ったのは、全身を黒のスーツで包んだ男。


「あ、そ、そうですね……」

小さな声で返したのは、彼の隣にいる黒髪ショートヘアの少女。


忍び込んだのは、いくつもの修羅場をくぐりぬけてきた、指導役を務めるベテランの男——カン55歳。そして、10歳という若さでこの世界に入り、まだ二ヶ月目である新米の少女。


――ゴォォ……ヴゥゥゥン……。


機械音が鳴り響く工場内。2人の存在を隠すと同時に、周囲にいる存在をも隠してしまう。


「これじゃあうるさくて集中できないな。聞こえる音を絞り込むぞ」カンは少女に指示を出した。


「は、はい」


二人は頭上に魔杖つえを向け、『音絞魔法クラウド…』そうお互い唱えた。すると、周囲の必要な音だけがクリアに聞こえ、機械音などは聞こえなくなり、状況判断しやすくなった。


「周りに注意しながら俺についてこい。」

カンがそういうと、二人は身を低くしながら進み始めた。


二人の目的地は、工場敷地こうじょうしきちの奥にある管理棟。だが、正門の近くには守衛室しゅえいしつがあり、警備員の姿がある。そこからの潜入はリスクが高かった。そのため、仕方なく二人はプラント側から潜入し、遠回りをして進んでいた。巨大なタンクの間を縫うように、光を避け、移動する。


――ゴォォ……ゴゴォ……


プラント施設の稼働音。さらに、「シューッ」と蒸気が抜けるするどい音。冷え切った鉄骨てっこつきしみ、ピンッと乾いた金属音を立て、二人の足音を様々な音でかき消していく。


――ようやく二人はオフィス棟の前にたどり着いた。カンは外灯の影に身を隠しながらポケットから携帯を取り出す。


――ピッ。

画面には一通の新着メール。仲介人からの指示だった。短い時間で読み終えると彼は画面を閉じ、少女を振り返った。


「いいか? さっきも言ったが、もう一度今回の依頼を確認しておくぞ。」


「……え、あ、はい。」


「おいおい、緊張してんのか? 見た目によらずだな。まぁ初仕事みたいなもんだ、無理もないが、興奮すると正しい判断ができなくなる。落ち着け。」


「……あ、はい。そうですね。」少女は人見知りだった。突然話しかけられて言葉に詰まっただけだった。表情の起伏が乏しいせいで、誤解されることも多い。


カンは満足げに頷くと、淡々と説明を続けた。


「今回のターゲットは、この工場の工場長・薬楽大輔やくらだいすけ。情報によれば、この時間はいつも地下二階にあるデスクにいるそうだ。なんで地下があるのかは知らんがな。まぁとりあえず本来なら単純な仕事なんだが……」


彼の声が少し低くなった。

「仲介人から新しい情報が入った。どうも、俺たちが来ることがバレてたらしい。誰がチクったかはまだ調査中だが、とにかく護衛を雇ったって話だ。」


「えっと、その……こっちの世界の人、ですよね?」


「ボディーガードか? ああ、魔法使いじゃない。そもそも現実界の人間が魔法を使うなんて聞いたことがないからな。問題はない。……ただし注意しろ。奴らは“拳銃”ってやつを使う。当たり所が悪けりゃ、俺たちでも死ぬ。」


少女は黙って頷いた。

魔法界での任務は危険度が高く、新人はまず現実界の仕事で経験を積むのが常だ。本来なら一年の訓練が必要なところを、彼女はわずか二ヶ月で修了していた。理由は単純。——天才だったのだ。


 今回の仕事も、建物の構造、動線、物資の配置はすでに把握済み。護衛の存在も予測しており、相手の配置を読むように、最適な動きを頭の中で何度もシミュレーションしていた。


「……あの、多分、」

少女が何か言いかけたが、カンが割り込む。


「俺に任せろ。ボディーガードの位置は読めてる。ターゲットの周囲を隠れて固めてるはずだ。だから今ここには誰もいない。まったく警戒が甘い、さすが現実界の連中だ、間抜けなもんだ。」


「いや、そうじゃなくて——」


「いいか! 勝手な行動はするなよ。指示は俺が出す。俺が逃げろと言ったら逃げろよ」


 カンは自信満々に言い放った。

だが、少女は言葉を飲み込む。彼が見落としていることがある。実際には、周囲にはすでに護衛が配置されていた。少女は潜入の際にすでに数人を無力化していたが、カンはそれにまったく気づいていなかったのだ。


 さらに言えば、仲介人からのメールは一時間も前に届いていた。潜入前に確認すべきものだった。


——そう、カンは「ベテラン」と呼ばれてはいたが、実際は平凡以下だった。

 カンと相棒バディを組んでまだ二週間。まだ仲は深まっていない。さらに少女は人見知り。そのせいで指摘もできず、ただ小さな違和感を抱えたまま従うしかなかった。


 カンは魔杖つえを構え、にやりと笑った。

「さあ、そろそろ始めるぞ。忘れるな、チームプレイだからな。――殺し屋は。」


「……はい。」


 彼らは“殺し屋”。依頼を受け、淡々と標的を葬る仕事人。特に“魔法使いの殺し屋”は、ここ現実界ではまだ珍しい存在だった。だからこそ、対策も遅れており、魔法を駆使する彼らの仕事は驚くほど容易に遂行できてしまう。


 依頼の流れは単純だ。

依頼者が仲介人に話を持ち込み、仲介人が殺し屋に伝える。そして、報酬と条件が合意されれば契約は成立する。目的は一つ——「確実な死」。


 カンは口癖のように言う。

「殺し屋はチームプレイだ」と。

だが実際、殺し屋にとって“相棒”はただの足手まといでしかない。息を合わせるより、ひとり静かに動き、淡々と仕事を終える。その孤独な集中こそが、本当の殺し屋の“本領”だった。

読んで頂きありがとうございます!


ANTIMIX(アンチミックス)は元々、男女二人が主人公のお話を考えていましたが、それを書くにはまずこの作品を作る必要があったので書きました。


七人の魔法使いは、現実界で密かに悪を倒していて、

仮面ライダー的、スーパー戦隊的、存在です。


どんどん話は面白くなっていきます!(そのはず…)

頑張ります!よろしくお願いします!

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