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聖女が始める新生活!  作者: NekoMouhu
第一章 ベテルギウス
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第5話 殺し屋とベテルギウス

 「いいじゃないか!本気をボクに!見せてくれよ!」

「いいだろう!俺の剣技を受けてみろ!」

そう言って、レッドは男に切りかかっていった。

「剣技!旧龍斬!」

 「おっと!急に太刀筋が変わるなんて!なかなか面白い!」

レッドは次々と剣技を出し、ギリギリを攻めていく。

男は太刀筋の変わりようにとても驚いたのか、ギリギリでよける。

剣技によって太刀筋や速度などが異なり、よけるのが困難である。

法則がない、と言ったほうがわかりやすいのだろうか。

法則がある数式は簡単に解けるが、法則がない数式は解くのに時間がかかる。

それと同じように毎度異なるレッドの太刀筋は男にとって厄介なものであった。

 「これは僕も…疲れてくる…よ!」

「俺もだ。だから、終わりにしよう。」


そう言って、レッドと男は一旦距離をとる。


「奥義!雷神減斬!」


刹那、レッドは男を切り裂き、気づいたころには男の首は飛んでいた。

「それじゃ、女のほうも始末しに行くか。」

そう言ってその場を後にした。


          ◇ ◇ ◇


 「アハハハハ!もうすぐ、マナ切れってところかしら?」

「くっ!何としてもお前には勝つのよ!」

 「どうやって?どうやって勝てるのかな?魔力だけに頼ってきたおチビちゃん?」

「その言い方はやめるのよ!むかつくのよ!」

魔力弾を飛ばしながら持久力戦をしているが、もうじきクラの魔力が切れる。


―そして、クラの魔力は切れた。

 「あら!魔力切れ!やっぱり持久力がないのね!」

もうすでに魔力は尽き、返す言葉もない。

 「さて、もうそろそろ殺しちゃってもいいわよね?」

そういうと、女は大きな魔力弾を生み出した。

「ここまで…なのよ…」

 「それじゃ、バイバイ。」

そう言って女は魔力弾を投げた。魔力弾はクラめがけて飛んでいく。

 「まだ、あきらめるのは早いんじゃないか?」

「―!レッド!」

レッドは飛んできた魔力弾を剣で真っ二つに切って、魔力弾の衝突を防いだ。


 「おい、お前と戦っていた愛しのパーリはどうしたんだ?」

「あいつの名前、パーリっていうのか。横を見ればわかるぞ?」

そういわれて、女はパーリの方向を恐る恐る向いた。

そこには、大量の血、血まみれの体。そして、パーリの首が斬られて落ちていた。

 「…!パーリ?…パーリ!どこにいるの?パーリ!」

「パーリとかいう男は殺した。次はお前だ。」

レッドは女に剣を向ける。

 「こ、こうなったら、パーリの仇をとってやるわ!死になさい!」

そう言って女は今まで作ったこともない巨大な魔力弾を生み出した。

「…!あれは、ヤバい!ジェル、防御を!」

 「あんな魔力弾、防御では何の役目も果たしません!」

「もう、終わりか―」


そんな時、レッドたちが忘れていた「希望」が立ち上がった。

 「リア!あんな魔力弾、防げない!リアは逃げるんだ!」

「私は逃げない。というか私のこと忘れてたでしょ?」

 「そんなことない!」

 「フッ!あんたみたいな観戦者、私の魔力弾に耐えられるわけがないでしょ?」

「それはやってみないとわからないでしょ?」

 「チッ!パーリの仇だ!死ねぇぇぇぇぇ!」

女は全力の一撃をリアに向けて飛ばす。リアはその魔力弾を見つめている。

三人は、もう駄目だと思って、いた。


          ◇ ◇ ◇


目を開けると、そこには無傷のリアが立っていた。

 「は?なんで…なんであの全力の一撃が効かないの?」

「私のスキルであなたの魔力弾を吸収した。ただそれだけ。」

 「魔力弾を…吸収する?…そんなことできる筈がない!人間業じゃないわ!」

女がそう、反応するのも無理はない。普通、魔力弾を吸収するなどあるはずがないのだから。

「それじゃ、お返し。」

リアは手を上に広げて、吸収した魔力弾を生み出した。

 「ちょ…ちょっと待って…!死にたく…ない!」

「そのセリフはあなたに殺された人も言っていたはず。命を奪っておいて人に助けを求める?冗談じゃないわ。」

 「ま…まさか!あ…あなたは!」

「さよなら。」

そう言って慈悲の欠片もない魔力弾が放たれる。

そして―女はリアの魔力弾―いや、正確には自分の魔力弾だろうか。―で死んだ。

こうして、リア達は殺し屋討伐をクリアしたのであった。

 「リア、助けてくれて、ありがとう。」

 「いやぁ、最後はどうなるかと思ったけど、ありがとな!リア!」

 「情けないところを見せてしまったわね。悔しいわ。」

「まぁ、これからどんどん努力していけば、いつかは強くなるよ。」


最後にあの女がリアに言おうとした言葉。一体何だったのだろうか。

それは、死んだ女にしかわからない事実であった。


           ◇ ◇ ◇


 「おお!無事に戻ってきてくれたか!」

「あれ、おじいさん、わざわざ馬車から降りて待っていてくれたんですか?」

 「おう。どうしても心配でな。」

「そうですか。それじゃ、帰りの馬車お願いしますね!」

 「もちろん!もうこれで、あの光を見なくて済む。」


おじいさんは、リア達を街までしっかりと運んでくれた。

 「ありがとうな!」

「こちらこそ!ありがとうございます!」

そう言っておじいさんとお世話になった馬車を見送った。

 「何はともあれ、一件落着って感じだな。」

 「そうですね。今回の戦いでわかりましたが、リアは私たちより強いのでは?」

「そう?レッドも剣技で一人倒してたから…」

 「あの男は武器が短剣だから難易度が低いけど、あの女の武器は魔法。魔法は近距離から遠距離まで対応しているのに、短剣は近距離のみ。そう考えるとあの女のほうが強いのは当然よ。」

「言われてみれば、確かに!じゃ、これから一生懸命みんなを育ててあげるわ!」

 「あんまり調子に乗ると、レッドみたいになるのよ。」

 「え?俺調子乗ってる?」

話の中に勝手に入れられ、勝手にけなされたレッドは別れるまでけなされたのであった。

次回 第6話 街の悲劇

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