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聖女が始める新生活!  作者: NekoMouhu
第四章 無限軌道
43/50

第43話 採用試験 ―魔法の輝―

リアはレテリアに連れられて、また大魔法学校へと入った。

まさか、こんなにすぐ第二次試験があるとは思っていなかったのだが…


 「ああ、そういえばリアさん!ヴァルディさんから朗報がありましたよ。」


「ろ、朗報ですか?」


 「はい。どうやら『試練の箱』内でスキルを使用していたらしいですね。それのおかげでもう一つのスキル試験をしなくても大丈夫、ということになったので、今回の魔法試験が最終試験です。」


「そうなんですか?!それなら良かったです!」


そんな話をしながら歩き続け、ようやく足を止めたのは、『亜空間室』だった。

 「ここではどれだけ魔法をぶっ放しても、大丈夫な空間になっています。ここでどれだけ強い魔法を放つことができるか、見てみましょうか。」


「わかりました。それでは――」


リアは魔法の杖なしに、空に手を広げて――


「全力で行きます!第5階帝魔法、改・心核真破殲滅(エクスティンクション)!」

この魔法を放ったのはいつぶりだろうか。

確か、この第8階帝魔法を使ったのは、シイアと初めて会った浮遊都市の戦いの時だったような気がする。

それでも昔と変わらない威力で光の光線は亜空間を突き進む。

これを心核聖真崩壊(ディバインカタストラ)と組み合わせれば最強なのだが。

流石に手の内をすべて見せるのも、いけないと思うので、今回はやめておいた。

ちなみに、最初に放った時は確か、第8階帝魔法になっていた。

しかし、それは心核聖真崩壊ディバインカタストラと併用したために、そうなっただけである。


 「だ、第5階帝魔法…?!」


レテリアはこの状況にとても驚いていた。

階帝魔法は通常の階級魔法よりも断然上のレベルである。

試験で言うならば、級と段ぐらいの違いだろうか。

そして、第1階帝魔法が、階級魔法の上級魔法にあたる。

第2階帝魔法が伝説級、第3階帝魔法が、神話級にあたる。

それをはるかに超える、神話級以上の魔法、第5階帝魔法。

レテリアは通常属性の教師で、階級魔法しか扱ったことがないので、階帝魔法を使っている人を見るのは、これが初めてである。

その、美しさ、破壊力に、レテリアは心を惹かれた。


 「リアさん、こんなすごい魔法使えるんですね!」


レテリアは目をキラキラさせながらリアに言った。

レテリアは、小さいころから魔法が好きだった。

ずっと好きで、好きで、魔法を使っていた。

ある日、レテリアが住んでいた町で、『大災』が起きる。


――『大災』

自然災害ではなく、魔物による被害のことを『大災』と呼ぶ。

そしてこの時、その『大災』を起こしたのは――


まぎれもなく、魔女だった。


魔女と、魔法兵達の争いを、遠くの非難した山からずっと見ていた。

この頃のレテリアには、魔法兵にとって危険で、どんな死戦が繰り広げられているのか、どうでもよかった。

ただ、放たれる魔法だけを見ていた。ずっと見て、目を輝かせていた。

そしてその時見た魔法――自分の使っている魔法より遥か上を行く魔法を見た。

それが、リアの使った『階帝魔法』である。


          ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 「階帝魔法が使えるなら、階級魔法はもうばっちりですね。」

「はい。」

 「それでは、次に私が魔力弾を暴発させたとしましょう。そしたらその対処をお願いします。」


レテリアはよいしょ、と言ってリアより少し遠く離れたところに行った。

 「だいたい生徒の持つ集中力は5秒ほどしかありません!そのため5秒で対処法を考えてください。」


――カウントダウン 開始

 『5』

さて、巨大な魔力弾をどうすればいいのか。

 『4』

同じ大きさの魔力弾を当てて相殺させれば…?

 『3』

いや、ダメだ。周りに被害が出る。

 『2』

うーん。魔力か。魔力魔力…そういえば…

 『1』

確か昔小さい頃、この対処法をお母さんが教えてくれた…!

 『0』

 「それでは対処法を言ってください!私はその指示に従います!」

「その魔力弾、こちらに撃ってください!」

そうリアが言った瞬間、レテリアの時間が一瞬止まった。

 「え、あ、えぇぇ?」

「だから、その魔力弾を私にぶつけてください!」

 「ちょ、それは流石に危険すぎませんか?私も保証は…」

「大丈夫です!」

ここまで言うのなら、レテリアはもうリアを信用するしかない。

 「ええい!わかりました!行きますよ!えい!」

レテリアはリアに向かって魔力弾を飛ばす。

そしてリアはその魔力弾が破裂しないようにそっと触って――


――『吸収』


魔力弾はリアの手にみるみる吸収されていった。

さっきの階帝魔法で使用した魔力が回復していく。

これはなかなかいい案だと、リアは思った。


魔力弾をすべて吸い込むと、レテリア先生は恐怖のあまりに目を閉じていた。

「だ、大丈夫ですか?レテリアさん…」

 「え、あ、リアさん…?」

「はい。」

 「あの魔力弾をどうしたって言うんですか…」

そう言うと、突然、亜空間室の扉が開きヴァルディ先生が入ってきた。

 「レテリア、試験官なんだからしっかり見ていないとだめじゃないか。それにしてもリア…君は本当に凄いな…」

 「は、え?」


レテリアはリアがどうしたのか分からなかったので、ヴァルディはレテリアに説明する。


 「そ、そんなことできるんですか?私、そんなの初めて見ましたよ?」

 「本当にな。それにしてもあんな技術、いったいどこで習ったんだ?」

「私のお母さんが昔教えてくれたんです。本当に私が小さい…ころ」

毎回、リアが過去のことを喋るたび、思い出すたびに不安になる。

過去はいつか忘れるものだが、リアは過去を覚えている。それもしっかりと。

なのに、なぜかもやもやする。誰かに上書きされたようなそんな感覚がする。


 「そうか。それなら、次は魔力測定だけしよう。」


そう言ってヴァルディは亜空間室を出て、リアはヴァルディについていく。


 「ここだ。」

リア達が入った部屋には、たった一つの光る、水晶玉があった。

この採用試験の名前にふさわしいような、水晶玉。

まさに、『魔石の輝』を放つ水晶玉だった。

 「この魔石に手をかざしてくれ。」

「ここにかざすだけでいいんですか?」

リアは言われた通りに手をかざしてみる。


すると、魔石は先ほどよりも大きな光を解き放った。

そして、だんだんとその光が弱まると、水晶玉にリアの何かが映し出された。

「これ、何も読めませんが…」

 「ああ、これは古代の文字だから、通常は読めないよ。」

どうやらヴァルディさんが言うには、この水晶玉は古い時代からずっとあるもので、この水晶玉は百年以上も使用しているらしい。

しかし、水晶玉の正確さ、輝きは一切衰えていないという。


 「やっぱり、思った通りの魔力量だ。」

そう言うとヴァルディはパンパンと手を叩いた。

すると、部屋に一人のおじいちゃん―校長が入ってきた。


「リア・カップ――。お主はこの大魔法学校に相応しい人材じゃ。よって、リア・カップの合格を認める!」


 試験終了、リア、無事合格――

大魔法学校への就職完了!

次回 第44話 新米教師リア

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