第32話 聖剣ルシア
学校のテストがあった関係で配信が遅くなりました。すいません。
「アハハハハ!何やってんの?空振りすぎでしょ!」
そう言って、リアのことを笑う。しかし、リアはこういった。
「いや、空振りしてないわよ?」
「え――?」
確かに、周りから見れば、何もない場所を斬ったように見えた。
ドラゴンはリアに近づき、顔を近づけ、リアに敵意のないことを示した。
「え――?」
『笑』の情は二回、同じ反応をした。
自分にとって――『笑』の情にとって、あり得ないことが目の前で起きたのである。
「なんで私が飼した魔獣があんたに懐いてんのよ?!」
「私は、この子とあなたとの『つながり』を斬っただけ。」
そう言われても、『笑』の情は何を言われているのかさっぱりわからなかった。
「私と…ドラゴンとの『つながり』を斬った…つまり私の能力の効果を斬ったってこと?!」
「まぁ、そっちの方がわかりやすいかも。それで意味は間違ってないわ。」
他人に関係する能力、つまり『魔獣操作』や『飼』などは、能力者と相手とのつながりがある。リアが他人に能力を付与する『能力付与』も同じもので、能力者が一定距離離れたり、能力者又は相手が死んだ場合、『つながり』は斬られる。
その『つながり』をリアは腰の剣で斬ったのである。
リアは、この腰の剣について、お母さんから洞窟内で聞いていた。
「リアが持ってるその剣、しっかり大事にしてくれてたんだね。」
「うん。一応お守り代わりになるかなって…」
「そう。それじゃあ、その剣の本当の使い方を教えてあげる。この剣の本当の名前は『聖剣ルシア』。この剣は通常の剣とは違って、聖なる力を発揮する剣なの。そしてこの剣は、聖なる力を持つ者――女の子だったら、『聖女』にしか使えない剣なの。冒険者に『聖女』っていう役職があるんだけど、それとはまた別の『聖なる力』のことを言うの。」
「それじゃあ、私には使えない?」
「いや、使えるわよ。だってあなたは私の子。聖女の子供は絶対に『聖女』の称号を受け継ぐのよ。そして、この剣は――」
リアはこの剣を『お守り』として考えていた。
それは何か強いパワーを感じたかである。
いつから聖剣ルシアを『お守り』として使い始めたのか、どうやって自分の手に届いたのかはわからない。過去のことはあまり思い出せないけど、ようやく正しい使い方ができる。
そう、この剣は――
「この剣はね、『何でも』斬ることができる剣なの。」
そう、言った瞬間、即座に反応したのは『笑』の情だった。
「はぁ?そんなものあるわけないじゃん!…どうせ嘘ついてるんだ!」
そうやってリアは嘘をついているのだと指摘する。
しかし、『笑』の情はそんなことをしたいわけではない。
『笑』の情がリアの言葉を聞いてそう反応したのは――
…なんで私の、私のスキルがあの剣に斬られるの?
…解除能力があるならまだしも、剣で斬られるなんてそんなことは…
…あの女は嘘をついてるんだ、嘘だ、嘘だ。
…私はそんな嘘に騙されない!私がそんなものに引っかかるわけないじゃん!
…そうだそうだ。あの女は解除能力を持っているに違いない…!
――そんなことないと自分に言い聞かせるためであった。
「私は嘘なんてついていないわ。本当のことを言っただけよ?」
「…ない…ないないない!そんなものがあるわけない!」
リアが「嘘をついていない」と言っても、『笑』の情には通じない。
――「そうやって言って、逃げてるんじゃないの?」
自分で自分に言い聞かせていた『笑』の情はそう、突然誰かから言われたような気がした。
――「現実を認めたら?」
そう言われて、『笑』の情は、嫌だ、嫌だとしか言えない。
だんだん、『笑』の情の『笑』の感情は曇っていく。
――「あっちの方が能力も、戦闘力も上だ。」
「分かってる、わかってるから…黙って…!」
――「それなら、降参すれば?」
「…黙ってって!うるさい、うるさい…うるさいうるさいうるさいうるさい!」
――「なんとかなると思うの?無理だ。君はあの子に勝てない。」
どこからか聞こえた声は、『笑』の情にトドメを刺した。
「ああ、ああ…あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
『笑』の情の『笑』の感情は姿を消し、『笑』の情は、『暴』の情に変わってしまった。
「死ね!死ね!みんな死ねぇ!周囲飼!」
『笑』の情――いや、『暴』の情は周囲の魔物すべてを操作し、リア達を襲わせる。
勿論、リアに懐くドラゴンも、そのせいで凶暴化し、リアに襲い掛かる。
リアはすぐに聖剣で操作を断ち切り、セフィアに戻るよう指示した。
「レッド、クラ、ジェル!私の後ろの方はそこまで強くない魔獣だから、戦ってくれる?」
「オッケー!任せときな!」
リアは後ろをレッドに任せ、前から襲ってくる魔獣を魔法で倒していく。
レッド達は三人で力を合わせて魔獣を倒していった。
しかし、何回も発動されているのか、魔獣の数が減らない。
「…どうしたらいいの…?」
「すごいことになってるけど、リア大丈夫?」
そう言ってきたのはリアの母――ミシアだった。
「お母さん!どうしよう…まだこの剣が使い慣れてないからどうすれば良いのか…」
「思い出して…と言っても無理かな。この剣はね…」
そう言ってミシアはリアにあることを伝える。
「わかった。やってみる!」
母は事情があって戦うことが困難だそうなので、リアは教えられた通りやることにした。
リアは聖剣をゆっくりと引き抜く。
周りには聖なる力が漏れ出し、魔獣の動きが遅くなる。
風がリアの方へと集まるように吹き始め雲は形を変えていく。
「天地よ、我が叫びに呼応し、今、この地に集え!天地――共戦!」
聖剣の新しい技…?
次回 第33話 天地共戦




