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聖女が始める新生活!  作者: NekoMouhu
第三章 ヴェルデンでの再会
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第25話 猫耳都市へ

リアは、ベテルギウス全員に、少年二人―ギアとグラのことを話した。

「二人とも、私たちに敵意はないみたいで、私達についていきたいらしいの。」

 「私は全然かまわんのよ。なんなら、手ごわかった敵が味方になってくれるなら、頼もしいのよ。」

 「私も、賛成…!」

 「俺も歓迎するよ。戦力が増えて、俺としては楽に戦闘できそうだからな。」

ギアとグラは転生前、殺そうとしたにも関わらず、歓迎ムードなのに驚いていた。

二人とも、そんなに簡単に許してもらえるとは思っていないのだ。

 「俺たちは、みんなを殺そうとしたんだ…それなのに、なぜ歓迎できるの?」

ギアはみんなに問う。

本来、殺そうとしてきた人を受け入れることはできないだろう。

「二人は私に殺されて反省したでしょ?それなら、もう十分じゃない?」

 「それもそうだな。『死ぬ』ことほど苦しいことはないだろうからな。」

『死ぬ』ことへの恐怖はみんな誰にだってある筈だ。

それを体験してなお、リア達のもとへ帰ってきた。

それなら目的は二つに絞られる。

よっぽどの憎しみを持って殺しに来たか、反省の気持ちを持って『もう一度やりなおしたい』と思ったか。

二人はリアに、過去のことと、白い空間での出来事を話してもらった。

白い空間での出来事、それは神様の導きであるとしか考えられない。

二人は、白い空間での出来事は二人にしか理解できないと、そう思っていた。

リアや、ベテルギウスのみんな、街のみんなに言っても、信じてもらえないと思っていた。

――殺そうとした人に何を言ったって信じてもらえない、と。

だが、リアは、みんなは、自分たちのことを信じてくれた。

だから、二人は、『やり直す』という選択肢を選んでよかったと思った。

 「みんな…ありがとう。」

そう言ってギアは泣き出す。

グラも半泣き状態だが、涙をこらえて頭を下げた。

「いいよ。私達にも手伝わせて。『正しい復讐』を――」

 「『正しい復讐』とは一体何なのよ?聞かせてほしいのよ。」

クラが二人にそう言った。

グラはこくりと頷いて、過去を話し始めた。


          ◆ ◆ ◆


話が終わったころには、ベテルギウスメンバーはほぼほぼ半泣き状態になっていた。

リアについては一度聞いているが、半泣き状態だ。

シイアは話の内容がわからず、困惑していたが、リアに抱き着いて、慰めた。

 「『正しい復讐』、私達にも手伝わせてほしいのよ。」

「私達も、参戦する。ベテルギウスの一員の、復讐だから。」


こうしてベテルギウスの目標地点は、『正しい復讐』をすることになった。

 「でも、二人とも、両親、殺されたところ、知らない…」

 「確かに。そこについてはどうするんだ?リア?」

「二人を転生させてここまでたどり着かせたことが、神様の導き、あるいは死んだ両親の導きなら、私たちはいつか、どこかで、めぐり合う筈。二人の両親を殺した人のところに――。」

 「私もそう思う…二人の過去がどうだったかは分からなかったけど、死んだ両親が巡り合わせたりする事例は、フラスカイでも何回か聞いたことがある…」

シイアの言葉がリアの発言の裏付けとなり、のんびりその時を待とうと考えた。

「でも、二人はすぐにでも復讐したいんじゃ…」

 「俺らは、いつでも良いよ。無理言って頼んでるんだから、優先度は高くない。巡り合わせが必ず来ると分かれば、いつでも良い。なんなら長いほうが、強くなることができるから。」

結局、のんびりと探すことにした。


          ◇ ◇ ◇


ベテルギウス一行は完成した『ベテルギウスシェアハウス』でのんびりとしていた。

ある日、そんなシェアハウスのインターホンが鳴る。

 「ごめんください!誰か、誰かいますか!」

リアはガチャッとドアを開け、来客を出迎える。

「どうしたんですか?そんなに慌てて…」

 「僕たちの…僕たちの村が襲われてる!だから…助けて!」

シェアハウスに訪問したその人は、この辺では見ない種族だった。

頭の色は橙色で、猫耳がヒョコッと生えていて、しっぽも出ている。

それ以外は普通の少年の見た目をしている。

多分、猫耳族なのだろう。

「とりあえず、落ち着いて、中で話しましょう。」


          ◇ ◇ ◇


「僕たちの村は、人の姿をした魔獣と、リーダーみたいな女性の人に襲われたんだ。特に僕たちの村は他の国とほぼ関わりを持たない。僕たちの村は世界的に保護されている保護区域だから、他国に襲われることはない筈なんだけど…その謎の集団に襲われたんだ。」

「それで私達に助けを求めにきた、ということ?」

「うん。それで僕たちをボコボコにした後、そのリーダーの女性に言われたんだ。『また来るよ!その時は君たちの村を破壊して、全員殺してあげる!』って。あの女性は恐ろしかったんだ…ずっと笑ってる…人が苦しんでいるのを、ケガをしているのをあざ笑っているかのように…」

訪問してきた一人の少年はぎゅっと拳を握りしめた。

「そして奴らが去ったとき、僕たちの街の住民は…ほぼ重症だった。回復魔法をかけても治らない重症もあるし、何人か…死んだ。」

「事情は分かったわ。私は参戦するけど、みんなはどうする?」

 「もちろん、俺は行くぜ!」

 「私も行くのよ。レッド一人だけだと、死ぬのよ。」

 「私も、行く。回復魔法は、必要…!」

「それじゃあ、決まり!シイアは行きたくないかもしれないけど…ごめんね?」

 「私は大丈夫。私にも何かできるかもしれないから…」

結局、ベテルギウス全員、参戦することになった。

「僕は、ロディ・キャトリア。みんなの名前を聞かせてほしい。」

「私はリア・カップ。」

 「私はクラ・レミスなのよ。」

 「俺はレッド・バーン。よろしくな!」

 「私、ジェル・ミアール。よろしく…」

 「私はシイア・メープル!」

「よろしく、みんな!すぐに僕たちの村、猫耳都市に向かってほしい!」

そう言ってベテルギウス一行は、荷物を整理し、猫耳族の村に向かった。

いざ、猫耳都市へ――

新たな戦いが幕を開ける予感……

次回 第26話 猫耳都市ヴェルデン

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