第24話 かつて戦った者
第三章突入!どんどん書いていきます!
フラスカイの騒動が終わり、リアは受付嬢に戻り、ベテルギウス三人はクエストを受けに行った。
リアは受付でのんびりと座って、ベテルギウスの功績表を見ていると、扉が勢いよく開く音が聞こえてきた。
「ギリギリセーフ!あ、お久しぶりです!リア先輩!」
「お久しぶり、テア。相変わらず出勤時間ギリギリで来るね…」
「朝はなかなか起きれないんですよ~。今日は冒険者ではなく受付嬢なんですね。」
「ひと段落ついたからね。ところで私がいない間、大丈夫だった?」
「ええ、特に問題はありませんでした…ですが―――毎日のようにリア先輩を探している小さい男の子二人組がいつもここに来るんです。リア先輩こそ、何かあったんですか?」
テアが言う、リアを探すような二人の小さい男の子なんて心当たりがない。
テアが言うには、その男の子は大体、午後三時ぐらいに来るらしい。
そして、時間は午後三時になる。
この時間帯は、冒険者があまり来ない時間帯だ。
この時間。この静けさ。過去の痛みを思い出す。
この冒険者がほぼいないこの時間帯に、ある一人の男が来て、リアに暴力を振った。
その時、リアは思い出したのだ。
――自分に力があることを。
今までなぜ知らなかったのだろう。なぜあんな状況になって本当の力を思い出したのだろう。
思い出すことを何かに拒まれていたかのように、思い出すことができなかった。
自分の持つこの力は、もしかすると本当の力ではないのかもしれない。
何かから借りた力、なのかもしれない。
でも、あの時その力があってよかったかもしれない、そう思う。
もしかしたらあの場所で、死んでいたのかもしれないから。
「リア先輩、もうすぐ来るような気がします…!」
「わかった。ありがとう。」
そしてテアが感知してから5秒程度で、扉が開いた。
リアとテアは息を呑んで、扉の方を見る。
そして、テアが言った、二人の少年が入ってきた。
すると、二人の少年はリアの方を向いてそのまま突っ立ってしまった。
「リア…さん…」
ようやく会えたと言わんばかりに大声をあげて泣き出し少年二人は互いに抱き合った。
「ようやく…ようやくリアに会えた!これで俺たちは新たな段階に進める…!」
「本当によがっだぁぁぁ!」
少年二人は泣きあっているが、リアにとっては何のことか、さっぱりわからない。
リアはとりあえず二人を泣き止ませ、それから聞いた。
「二人とも、どうしたの?私に何かよう?」
「やっぱり、姿形は変わるから、わからないか…」
そう、一人の少年が言って、リアは能力感知に移行させ、二人の能力を見た。
――小さい少年の方は、『魔獣操作』。もう一人の方は、『属性逆転』!
そうだ、この二人は、この二人は私がかつて戦った、二人の男。
「あなたたち、ギア・カタロスと、グラ・カタロス…?!」
「思い出してくれた?俺たちリアを探すために二人で協力して、ようやくここまでたどり着いたんだ。」
「あなたたち、また私を倒しにきたの?」
「俺らの目的は違う。俺らはリアについていきたくて、探していたんだ。」
二人は、白い空間で、真実を知った。
いつの間にか、方向性を誤り、行く道を間違えてしまったのだと。
しかし、それがあったからこそ、ようやく本当の道を歩ける。
あの白い空間でみた、聖典の最後。
――「正しい道を行けば、正しい復讐は行える。正しい道を行くのなら、あなたたちを殺した、一人の『聖女』についていきなさい。そうすれば正しく、終わる。」
「俺たちはリアについていきたい。俺はリアの味方をしたいんだ。次こそ必ず正しい道を歩みたい。…だから―――」
「―――もう一度、やり直すチャンスをください…」
リアが許してくれるかどうかはわからない。許してくれないかもしれない。
それでリアが二人を置いていったとしても、無視したとしても、ついていきたい。
二人はリアにとても悪いことをした。だから、チャンスが欲しい。
二度目の人生というチャンスを――
「いいよ。あなたたちの気持ちは十分に伝わった。私の進む道が本当に正しいものとは限らない。だけど、それでも私についてくるなら、私は止めないし、逆に歓迎するよ。」
リアは二人を許していた。
リアは二人を殺した。二人は「死」という苦しみを体験した。
「転生」は何か未練が残っているからするもの。だから記憶も残る。
リアにとって「死」は最大級の謝罪ともいえる。
そして、転生したのをいいことに、リアに再挑戦する気は全くなかった。
むしろ、リアについていきたい。そう言うのである。
二人の中に未練がある。そして神の導きで、二人をリアに巡り合わせた。
だから、歓迎する。
「ようこそ!私たちのパーティ、『ベテルギウス』へ――」
こうしてかつて戦った二人は、リアについていくことになった。
そして、リアは二人からいろいろと話を聞いた。
二人の過去、二人の未練、そして白い空間であったことを。
「私についていけば、正しい復讐はできる、か。ということは、私はあなたたちの両親を殺した人物と戦うことになる、ということね…」
「俺たちの両親は強かった。俺らはお父さんにも、お母さんにも勝てることはなかった。」
「だから、自分達だけでは戦えないかもしれないから…」
「大丈夫。二人はベテルギウスの一員なんだから、私も参加するよ。」
こうしてまた、新たにベテルギウスに新メンバーが加わり、新しい、物語が始まる――
次回 第25話 猫耳都市へ




