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聖女が始める新生活!  作者: NekoMouhu
第二章 浮遊都市の騒動
17/50

第17話 7日後の戦い

シイアを狙う誘拐犯との戦いは終わり、シイアは―――

誘拐犯が学校に潜入してから王城へ行き、後の対応はミラフス王に任せた。

リアを信じることができたからなのか、シイアはお父さんともしっかり喋るようになった。

あれから約3日。ここ数日は平和な暮らしが続いている。


「あれから、シイアの様子はどうですか?」

 「だいぶ喋ってくれるようになって、だいぶ人間不信が治ったみたいだ。感謝するよ。」

「そうですか。それはよかったです。」

リアはまだ浮遊都市フラスカイに滞在している。勿論、他の三人も、だ。

それにはしっかりとしたわけがある。


「少し重要な案件があります。シイアに関してのことですが。」

 「聞こう。なんだ?」

リアの表情が険しくなり、ミラフスはごくり、と息をのんだ。


「シイアは、このままだと死んでしまいます。」


リアが口に出したのは、シイアの、余命宣告だった。


          ◆ ◆ ◆


 「なん、だと…」

「簡潔に話します。シイアのマナ排出を行う場所が壊れていて、このまま行けばマナが破裂して、シイアは死んでしまいます。」

リアは冷静に、簡潔に話した。ミラフスはもちろん、冷静には居られなかった。

 「どうすれば、シイアは生きることができる?」

「私に提案があります。これを了承していただければ、大丈夫かと。」

 「提案…とは?」


「シイアを一年間、私が引き取らせていただければ必ず、命は救いましょう。」


少しばかり沈黙が続いた。少し経った後、ようやくミラフスは口を開いた。


 「わかった。その提案、呑もうではないか。」

そんな提案を呑んだ時だった。ミラフスは少しばかりぼーっとして、やがて頭を抱えた。


「ああ、あああああああ!苦しい!頭がぁ!首がぁ!」

リアはミラフスに駆け寄り、すぐに回復魔法をかける。そしてすぐ、ミラフスは意識を失った。


          ◇ ◇ ◇


 「―様―――ミラフス様―――ミラフス様!」

ミラフスが目を覚ますと、ベッドの上だった。

リアが手当と、搬送をしてくれたらしい。

「ああ――今は…何日だ?」

 「ミラフス様。今日は5日でございます。」

そうミラフスのメイド、セナ・ポーラが答えた。


「――やっぱり、か。」

ミラフスは意味不明なことを言い出し、立ち上がる。

 「ミラフス様、無理をなさらないでください!」

「もう大丈夫だ。それより、ベテルギウス四人を早急に呼んでくれ。」

 「…わかりました!」

そう言ってセナはベテルギウス四人を呼びに行った。


          ◆ ◆ ◆


「ミラフス、体調は、大丈夫?」

 「ああ、大丈夫だ。少し君たちにお願いしたい、いや依頼したいんだ。」

 「俺たちにできることなら、何でも言ってください。」

そうレッドがミラフスに言う。

 「実は、一週間後に激しい戦争が起きる。それに参加してもらいたい。」

「私達、本来なら明日出発する予定だけど―」

 「戦争が終わるまで居てもらえないか?」

これは、国の間の関係をよくするためにも、必要なことだろう。

しかし、自分が勝手に決断してしまえば、国王も黙ってはいないだろう。

流石にベテルギウスに信頼があると言えども、個人の判断で国を動かすのは許されないだろう。


「それなら私達の国王とギルドマスターに参加要請を送っていただけませんか?」

 「わかった。戦争参加要請を送り、四人が安心して戦えるようにしよう。」

「レッド達も、参加する?」

 「俺はもちろん、参戦するよ。」

 「私もなのよ。当然のことなのよ。」

 「回復は、任せて。」

それを聞いて、リアはミラフス王のほうへ向きなおす。

「それでは、戦争が終わるまで、この国に残ります。」

 「ありがとう!リア、レッド、クラ、ジェル!」

 「きっちり報酬はいただくのよ。」

 「今その話しなくて良くない?」

 「報酬忘れられたら、たまったもんじゃないのよ。」

レッドとクラが言い合うが、リアとジェルは気にせず喋りつづけた。

 「もちろん、報酬は出させてもらう。だから、よろしく頼む。」

「ええ。それで7日の間、何をしていればいいんですか?」

 「シイアの護衛の続きと、訓練だ。剣聖を用意するから、強くなれ!」

 「剣聖、ですか。俺は剣聖なんて見たこともないな。」

 「剣聖の強さは十分わかるのよ。だけどリアと比べると、劣ってるのよ。」

「そんなことないよ。剣聖は剣を使う人から選抜された一番強い人だから。」


リアは自覚していないが、異常存在と言えるほど、リアは強い。

天災とも呼ばれる魔獣を一人で始末できるのは、異常なのだ。

確かに、剣聖も異常存在ではある。しかし、リアからは何か違うものを感じた。

 「それじゃ、明日からよろしくな。」

そう言われて、四人は元気よく返事をし、三人は部屋を去っていった。

しかし、リアは部屋に残っていた。

「ミラフスさん。あなた、もしかして―――」

リアはミラフス王に問う。

答えはいたって簡単だった。

「ああ。そうだ―――」

たった一言、リアの言葉を肯定するたった一言が、ミラフスの口からこぼれた。


そして、次の日、剣聖との訓練が始まった。

 「僕はカトス・トレア・レグミシア。よろしく。」

「今日からよろしくお願いします。あなたが剣聖カトス・トレアさんですね。」

 「うん。でも僕にあんまり期待しないでほしいな…」

 「よろしくなのよ。」

 「私、回復役だけど…」

「回復術については私と一緒に新しく覚えようよ!」

 「そうだな。じゃあ俺とクラとリアは剣の訓練、ジェルは回復術の勉強だな。」

 「たまに、参戦、する。」

「そうね。魔法は使わないと何にもならないから、実践訓練も必要ね。」

こうしてベテルギウス四人の訓練が始まるのであった。

次回 第18話 剣聖の訓練

戦争開始まであと7日――

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