表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女が始める新生活!  作者: NekoMouhu
第二章 浮遊都市の騒動
16/50

第16話 侵入者との戦い

――侵入者との戦いが今、始まる。

 「ここか。シイア姫がいるクラスは。」

リアは声のする方向を見る。そこには黒ずくめの男四人が立っていた。


「なんのために来たんですか?あなたたちは!」

ティル先生が不審者に問う。

 「簡単な話だ。シイア姫を誘拐しにきた。ただ、それだけ。」


「そう。力ずくで奪う気ですか?」

 「もちろん、そちらが抵抗すれば力ずくでもらっていく。」

「教師はあなたたち不審者に簡単に生徒を奪われては困ります。だから…」

そう言ってティル先生はある紙を取り出した。


「…転移(テレポート)


そう言うと、先生が転移するのではなく、他の先生たちがテレポートしてきた。

 

 「やっぱりこのクラスに来たんだなぁ。不審者さん。」

 「教師なんだから、生徒は守らないとねぇ。」

「そう。だから…」

ティル先生は不審者に指を向けて、


「教師軍、出陣!」


ここにいる教師は10人いる。10対4とはなかなか優勢である。

 「ここじゃ狭いな。どうだ、戦闘は体育館にしないか?」

「いいわよ。そっちのほうが戦いやすいから、そうしてあげる。」

そう言って先生の転移術を使い、全員が体育館にテレポートした。


 「ふ。賢明な判断だな。あの教室に一人忍ばせていたのが分かっていたか。」

「ええ。子供をおいて私が移動したら、誘拐する気だったんでしょ?」

 「ご名答。それじゃ、流石に10対4は厳しいから…」

そう言って不審者は指を鳴らす。

すると、体育館の天井から6人、同じような人が降りてきた。

 「10対10なら公平だよな。」

そう言って、両チームは戦闘態勢に入る。

 「「さあ、シイア姫を渡してもらおうか!」」


          ◆ ◆ ◆


ティル先生は、刃物を使って近距離戦をしていた。

先生は10人の中でも5番目くらいに強いとされている。

相手も刃物を使うが、ティル先生の刃物よりも長く、避けるのが難しい。

「はっ!それっ!えいやっ!」

そう言いながら相手にどんどん斬りかかっていく。

 「弱い弱い。弱すぎる。少し遊んでやろうじゃないか!」


ケイズ先生は、魔法を使って遠距離攻撃をしていた。

相手は近距離武器なので、勝てるかと思われたが、華麗に魔法を避ける。

「くそっ!当たれ!当たれ!」

 「そんなでたらめな攻撃じゃ当たらねぇに決まってるだろうが。」

そう言って相手の刃物が頬に当たり、血が出てきた。

すぐに先生は相手との距離をとり、遠距離攻撃をしていた。


ナル先生は、高速移動術を使って、戦闘を繰り広げていた。

 「最初はだいぶ攻撃されたけど、慣れてきたぞ?」

だんだん相手は高速移動術に慣れたのか、うまく避ける。

「こうなったら…高速移動術、二倍!」

先ほどより二倍早く動けるようになり、相手は必死に抵抗するのが精一杯だ。


先生たちはうまく戦っていたのである。最初のほうだけは。

 「さぁ、我が下部達よ!本気を出し、さっさと殺しちまいな!」

  「「了解!ボス!」」


息ピッタリでそう言うと、急に太刀筋が変わった。

ティル先生は刃物で防御するのが精一杯。

ケイズ先生は魔法で防御するのが精一杯。

ナル先生はずっと高速移動術を使って逃げるのが精一杯。


教師10名がそんな状況にあり、戦場は絶望に包まれていた。

 「やばいっ!死ぬぅっ!」

ティル先生のナイフが割れ、相手の刃物が服に当たり、服に切れ目が入る。

そのまま一直線に心臓のほうへ刺す――筈だった。


10人の侵入者の刃物はその瞬間、粉々に散った。 

そして、リアの手には隠し持っていた短剣があった。

 「リア…さん…?」

「先生は少し休憩していて。」

そう言ってリアは侵入者に立ち向かう。

既に侵入者は一部に集まって、攻撃態勢に入っている。


「もう攻撃手段はなくなったでしょ?降参しないの?」

 「お前みたいなガキなんて屁でもないわ!なめるんじゃねえぞ!」

「そう。なら攻撃してみればいいんじゃない?」

そうリアに挑発されて一人の男がリアに殴りかかる。

 「おらぁぁぁぁ!」

しかし、その拳はリアの人差し指、たった一本で止められた。

その衝撃の光景に目を疑う9名の教師。

そしてリアは男に蹴りを入れ、壁まで飛ばす。

男は抵抗する術もなく、壁に衝突し、倒れこんだ。


「ね?どうする?」

表情を変えずに改めてリアに聞き返す。

 「…こうなったら―お前を乗っ取ってやる!」

そう言ってボスと呼ばれる男は『支配の首輪』を取り出した。

 「これはな、投げたら付くまで追いかけ続ける首輪だ!」

そう言って男は首輪を投げつける。

その支配の首輪は、リアの首にしっかりとついた。

 「ハッハッハ!これでコイツは俺たちの物だ!行け!残りの教師を殺すんだ!」


しかし、その命令は届かなかった。

命令をした瞬間、その男には時間が止まったように見えた。

そして何者かに触られたような、そんな気がする。

そして時が動き出した時には、首輪はボロボロになって下に落ちていた。


「そうそう。私、支配効かないんだった。」

そうリアは笑顔で言って、男のほうを見る。

 「ま、待ってくれ…せめて命だけは――」

「シイアを傷つける奴の命なんていらないでしょ?極悪人は土に還ったら?」

そう言って、無慈悲に短剣でトドメを刺した。


誘拐集団はたった一人の少女――リアによって全滅した。


          ◇ ◇ ◇


「リアさん、まさかあそこまで強いなんて思わなかった…」

 「体質です。母から異常存在って言われていましたし。」

もしかしたら今回の事件がシイアにとってトラウマになったかもしれない。

リアの力が大きすぎて、逆に信用できなくなったかもしれない。

でも、一つだけ伝えることはできる。

 「私はシイアの味方。勿論、ダメなことは注意するけど、シイアを守ってあげるから。」

シイアにはリアが後ろにいるから安心する、そう思ってほしい。

 「私のために、戦ってくれてありがとう…先生も…」

「いいのよ。結局リアさんに助けられちゃって、教師として情けないけどね…」


「今回の戦いで私はあなたの誘拐犯と戦った。私はあなたを守るって、わかってくれた?」

 「うん。リアなら信じられる。だから、リアの信じる人は信じられると思う―。」


この事件は後に大ニュースとなり、伝説の少女として空想上のリアが残ったのであった。

次回 第17話 7日後の戦い

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ