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聖女が始める新生活!  作者: NekoMouhu
第二章 浮遊都市の騒動
15/50

第15話 リアと過去

リアの過去の一部が明らかに?

リアはいつも通り学校で授業を受けていた。

ティル先生は四人が護衛だとはもちろん知らない。

先生にとって四人は新入生だから、特に怪しまれることはなかった。


新入生として迎えてもらってから実に二週間が経った。

丁度、あの会話から一週間が経った。

シイアはリアに誘拐しないのかと、そう聞いた。

リアはもちろん、誘拐するつもりはない。逆に守るためにいる。と答えた。

シイアは心ではリアを信じたかった。しかし、信じられない。

どうしても体が拒否する。心が許したなら体は変わった自分を受け入れてほしい。

でも、その願望は自分の体には伝わらない。自分の、体なのに。

そんな複雑な思いでシイアはいっぱいになっていた。


そしてあれから一週間経ち、シイアはリアにこういった。


 「まだ、信じることはできない…けど、会話はしてもいい?」

「いいよ。いっぱい喋ろう!」


リアは自分自身のありのままの性格でシイアを少し変えた。

しかし、人間不信―シイアにとっては大きな一歩なのだ。


登下校中はリアとシイアは自分自身のことについて話した。

「ねぇねぇ、シイアの誕生日っていつ?」

 「私は…10月8日。リアは?」

「私はね、12月5日…だったかな?」

 「…はっきりわからないの?」

そんなシイアの質問にリアは少し黙る。

「…そうね。私、自分の誕生日がいつか、はっきりとわからないの。記憶が封印されているような…そんな感じ。」

 「記憶の封印?」


リアは働き始める前までの記憶がほぼない。小さいころ行っていた中学校の名前も、友達も、習い事も。

ただ分かるのは両親の名前と両親の行方のみ。


「私はね、生まれて一瞬で大人になって一人暮らしをし始めたって感覚しかないの。だから、シイアみたいに小学生をちゃんとやっていないんじゃないかって、そう思うの。」


だから、小学校に潜入するとき、少しうれしかったのかもしれない。

自分の体験できなかった生活―リアの小学校生活ができて。


 「そんなの…」


―そんなの酷すぎる。


自分の記憶の一部が封印されるなんて、考えられない。

でも、信じられるリアがいうのだから、本当にありえるのかもしれない。

もし本当にあるのなら、シイアの誘拐犯より酷いだろう。

誘拐されたらお金で解決できるのは分かっている。もちろん、その後捕まえられる。

しかし記憶の封印は、誰に封印されたかもわからないし、お金で解決できるものじゃない。


記憶の封印―小さいころのリアの存在を否定しているということ。


「記憶の封印をしたのは誰か分からない。でも何か事情があって封印したのかもしれない。だから、まずは恨むより、理由がわからないとね。」


リアは人が良すぎる。まるで人間の鏡のような、聖なる何か。

 「…けど、なんで私と同じ、人間不信になったの?」


「それはね、私が社会人になったばかりのころ、色々とだまされたの。運がいいから助かったんだけどね。」


リアは社会人になってから色々と人から騙されていた。

『この仕事、めちゃくちゃ儲かるよ。』『これを飲めば、良く寝られます!』

『これを買えば…』


もう、うんざりだと思った。


 『そこで待っておいてください。すぐに来ます!』

 『おお、きれいな嬢ちゃんがいるじゃねえか。ちょっと付き合ってもらおうか。』

『あなたたち、一体何をしようと…』

 『お前はあいつに騙されてんだよ!大人しく来い!』


もう、誰も信じたくない。


 『いまならこのベッドは通常価格の半額です!』

『えっ?半額?!買います!』

 『お買い上げありがとうございます。それでは情報を入力してください。』

『わかりました!』


 『情報入力ありがとうございます。それではベッドはお持ち帰りください。後日請求いたします。』

『ありがとうございます!』


『今月の請求額は…は、八百万円?』


『この商品、通常価格三万円なのに、なんで七百五十万円も請求が来ているんですか!』

 『大人しく支払ってください。支払わなければ情報をばらまきますよ。』


もう、誰も信じられない。




「私はね、大人になって人に騙され続けた。いつの日か、ぶつんと何かが切れたの。」


シイアの知っている、感覚。リアも同じ苦しい思いをしていたのだと思った。


 「リアの話聞いて、ほっとしたかも。私と同じ気持ちになった人、いるんだね。」



          ◇ ◇ ◇


王城に戻るなり、だんだんシイアの人間不信が解消されたと言っておいた。

ベテルギウス四人は食事を済ませ、お風呂に入り、各それぞれの部屋に戻った。

そして次の日になった。


外は雨が降り、薄暗い。

リア達は朝食を食べ、魔法で体全身を雨から防御し、学校まで歩いて行った。


「はい、じゃあレッドくん、ここの問題は何?」

 「25です。」

「正解!よくできました。それじゃ…」


―『緊急連絡。緊急連絡。教師は生徒とともにバリケードを作成してください。』


バリケード…不審者が学校に侵入した場合の対策方法…!


生徒はバタバタと騒ぎ出すが、先生は生徒と一緒に机のバリケードを作り上げた。

 「先生、何があったの?」

「大人しくして!大丈夫だから!」


 「ここか。シイア姫がいるクラスは。」

リアは声のする方向を見る。そこには黒ずくめの男四人が立っていた。

次回 第16話 侵入者との戦い

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