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聖女が始める新生活!  作者: NekoMouhu
第二章 浮遊都市の騒動
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第11話 浮遊都市からの手紙

第二章開幕!一体、どんなことが起きるのでしょうか…?

ある日、そのシェアハウスに一通の手紙が届いた。

その手紙の内容は浮遊都市フラスカイへの緊急招待であった。

 「浮遊都市フラスカイ?」

「ええ。フラスカイは世界でも有名な国の一つで、国自体がすべて空中に浮かんでいるらしいのよ。」

 「そんな幻想的な土地、一回は行ってみたかったのよ。」

そう言って、クラは浮遊都市に期待を抱く。

 「内容的に浮遊都市に行って楽しめる感じじゃなさそうだな…」

 「王が他国の住民を自ら誘うことはよっぽどのことがない限りないのよ。」

そう。クラが言う通り、王が王を誘って宴会を開くならあり得るかもしれないが、王が他国の住民を招待するということはまずありえない。

王が王を誘い、誘われた王が住民を誘うというのが一般的な形であった。

つまり、この招待状は力を貸してほしいという依頼になるだろう。

「そう考えると完全に事件に巻き込まれそうな気がするわね。」

 「でも、行ったほうが、いい。」

結局四人の議論の末、行こうと言うことになった。


          ◇ ◇ ◇


「国王陛下、浮遊都市フラスカイ国王、ミラフス・メープル様からのお手紙でございます。」

 「ご苦労。メープル家からの手紙とは。随分、珍しいことだな。」

そう言って手紙を開け、中身を読む。

 「ふむ。」

内容は、冒険者の中のベテルギウス一行を借りたい、ということ。

しかし、一つだけ問題がある。

それはベテルギウス一行がフラスカイの戦力になる可能性がある、ということだ。

もし、この国とフラスカイが戦争になった時、あちらにベテルギウス一行が味方すれば、この国が滅ぶ可能性が格段に上がる。


しかし、国王はそれを止めなかった。

 「良いだろう。ベテルギウス四人に伝えておけ!この国とフラスカイとの友好条約を結んで来いと!」

「そ、それは!陛下が直々に行くべきなのではありませんか?」

 「いや。ここでこの国からフラスカイを助けるための支援を送れば、友好条約など簡単に結べる。」

「ですが、国民に…しかも冒険者に―」

 「なんだ?心配しておるのか?あの者達はしっかり善悪は分かっておる。信頼できる奴らだ。」

「陛下がそう仰るのなら…」

国王はあのベテルギウス四人を信頼していた。

国王は条約の用紙を書き、ベテルギウス四人のうちの一人、リアに持たせようとした。


          ◇ ◇ ◇


「お久しぶりです。国王陛下。」

 「よく来たな。これから浮遊都市フラスカイへと行くのだろう?」

そう聞かれてリアは国王陛下にも手紙が送られたのだと分かった。

「はい。緊急依頼だそうで…」

 「うむ。正直言って、フラスカイから応援要請が来るのは初めてのことじゃ。そこでな…」

そう言って、手をパンパン、と鳴らして書類を運ばせた。

 「あちらとの友好条約を結んできてほしいのだ。」

「え?私がですか?」

 「うむ。お主らは信用できるやつだ。だからこそ、信頼して渡せる。」

少しリアは黙ったが、これは何か理由があるのかと思い、了承した。

「わかりました。それでは、これで。」

 「うむ。一つだけ忠告しておこう。どんなことがあってもお主らの命が優先だ。そこだけは間違えんようにな。」

「はい!」


国王は国民をとても心配しているとてもいい王様である。

住民の意見を十分に取り入れ、どんな些細なことでも聞く。

それを町全体に反映させて様子を見る。また何かあれば改善しようとする。

そんな国民思いの国王は住民から好かれていた。

住民の信頼を『街に反映させる』ことで得ている。

これがもしかしたら理想の国王像なのかも、しれない。


          ◇ ◇ ◇


「ただいまー!」

 「「お帰りー!」

みんながリアの帰りを待っていた。

 「リア、国王の呼び出し、どうだった?」

「浮遊都市フラスカイと友好条約を結んできてほしいって言われたんだ。」

そうリアが軽く言ったが、三人は理解が追いついていない。

 「ど、どゆこと?」

「だから!友好条約を結んで来いって!」

 「俺らが?」

「うん!」

三人はやっと理解が追いついたのか、驚く。

「国王陛下は私たちのことを『信頼』しているんだって。」

 「それなら、陛下の期待に応えるしかないのよ。」

そう言って三人は国王陛下の期待がかかっているためか、断れなかった。

断れば、首が飛ぶかもしれないと考えると恐ろしい。

「国王陛下はそんな物騒な人じゃないわよ?」

 「なんで俺の思考読んでんだよ!」


          ◇ ◇ ◇


  「浮遊都市フラスカイ行きの馬車は11:20頃出発の予定です。あ、あの馬車がそうです。」

そう言って受付の人は指をさす。

「ありがとうございます。」

  「ええ。良い旅を!」

笑顔で手を振り、馬車のほうへと走る。

 「キミたちは浮遊都市フラスカイに行く人たちかい?」

「ええ。そうよ。はい、これ切符。」

馬車の人に切符を見せる。

 「確かに拝見した。重い荷物持って、疲れたじゃろ?後ろに乗って休憩してもええよ。」

「まだ時間前ですけどいいんですか?」

 「うむ。よいよい。」

そうして馬車の中に乗り込み、荷物を置く。

「意外と中、広い!」

空の色をイメージした空色の車内は豪華に飾り付けられており、空調が完備されている。

 「馬車ってこんな近代技術みたいな感じあったっけ?」

「昔は違ったけど、今はこういう馬車が増えてきているの。馬もおじさんも中の人も快適に移動できるんだって。」

 「へぇ…」

そう言ってレッドは近代の技術、すげぇーなと感心する。

 「出発しまーす。」

「「はーい!」」

こうしてベテルギウス一員は浮遊都市フラスカイへと向かったのであった。

次回 第12話 浮遊都市フラスカイ

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