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Act.2 Busted in the sky

 私たちは龍態化したアルドラサクスの背に乗り、件の黒剣『夜廻(よめぐり)』の回収へと向かった。ドラゴンの背の上にのって晴々とした空を堪能する。この空の景色を見るたびに感動する。アーティファクト回収業務は大変だが、旅のようで好きだ。


 それはそうと、黒剣『夜廻(よめぐり)』というアーティファクトについては詳細不明である。

 というのも、それは不戦協定を結んだとある暗殺教団の所有物だったからだ。こういう場合はお互いに過度な干渉はしない。秘密を詮索なんてもってのほかである。だからこそ回収対象ではなかったし、アルドラも何も言わなかった。


 この世界では、基本的に1つの宗教を除いて信仰が禁止されている。その宗教はメシア教という、なんとも言い難いネーミングセンスな宗教だ。ちなみに、和の文化圏では救世衆(ぐぜしゅう)とも言われる。


 メシア教は現在内ゲバのせいで弾圧が十分に行えていない。シャトー・アルドラとしても武器の供給は絞っている。


 理由としては大きく2つあり、1つは宗教関連は激化すれば必ず戦争の火種になること。つまり稼げるチャンスを育てている。

 もう1つはメシア教の内ゲバの事情に宗派分立があり、そこに少なくとも2つ以上の強大な魔法技術が関わってる故に危険だからだ。


 メシア教がゴタついてる間に、種族間でも意見が分かれ、各々が信じたいものを信じる時代へと変化してきた。


 信仰対象が豊富なこの世界で、メジャーどころは龍信仰または古龍崇拝などの、圧倒的強者に対しての憧憬思想(しょうけいしそう)だ。


 その暗殺教団は、ちょうど古龍崇拝を行なっているところであった。

 つまり、太古龍アルドラサクスがいる私たちシャトー・アルドラとはかなり友好関係にあった。


「暗殺教団の教祖は死んだけど、教えや技術の継承者は残っていたはずよ。なぜ礼拝対象の黒剣『夜廻』が奪われるなんてことになるの?」

「昨今の自由信仰主義の影響を受け、内部の裏切り者が持ち去ったようだぞ。だが、資格のないものに龍の遺物は扱えん。今や幽鬼(ゆうき)の如く彷徨(さまよ)っておる」

「ふむ、奪い去ったということは暗殺教団の中でも野心の強い者か、勇気と無謀を履き違えた若者の可能性が高いですね」


 どちらにしても、教祖を殺した可能性もあり得るわけだ。アルドラサクスがたまたま見つけたというよりは、教団上層部が彼に依頼したとみるのが正しいか。


桜百肢(さくらびゃくし)、ちょっと思ったんだけど」

「もしかして寒いですか? お嬢様」

「それはあなたのおかげで大丈夫。それより『夜廻』って名前は確かに暗殺者っぽいけど、ナイトルーティンみたいよね」

「まぁ日中堂々と暗殺してたらそれはもう立ち合いですからね。本当にナイトルーティンって意味があったりして」

「仏像みたいなものだし、丁寧に手入れされてるでしょうから、ナイトルーティンよきっと」


 そう桜百肢と笑い合っていると、アルドラサクスから声がかかった。


「その油断も俺の背中にいれる内だけだぞ、若女ども。最低でも『夜』に起因する能力のアーティファクトなのは確定している。あいつは夜にしか活動しなかったからな。もし百足とリリヴェルの言う通り、同胞の『夜の狩り』(ドラゴンナイト)が再現されるなら、桜百肢はともかくリリヴェルでは相手にならん」


 めちゃくちゃしっかりとアルドラに注意された。確かに油断はできない。アーティファクトを集めることはほぼ死と隣合わせだ。それでも私が最前線に立つのは、実績と経験……ではなく人不足だからである。ホントダヨ。


「いいえ、アルドラ。あなたの眷属の遺骸から作られたドラゴンウェポンですよ? お嬢様も万全の体制で回収に臨むはずです。例の秘匿された〝祝福〟(ギフト)を使えば何も問題ありません」

「桜百肢……。リリヴェルが安全策を取るという妙な期待はするなと常々言ってるだろう。心の底では我々と同レベルの戦闘欲を持ち、100%全開で闘争心を剥き出しにする女だ」

「いや事務所出る前にアルドラの眷属龍の遺品なのお嬢様も理解してましたって。今回こそ大丈夫です。後方待機確定ですよ」

「……腕のあたりにお前の百足を這わせてみろ。お前の主人のことをまたよく知れる機会だぞ、桜百肢」


 私は咄嗟に隠そうとしたが、そうなる前にものすごい勢いで桜百肢が腕を掴んだ。

 桜百肢が作ってくれた百足だけで作られた、蟲姫(むしひめ)の玉座(桜百肢が勝手にそう名付けた)からゾワゾワと私の腕に百足が這う。


「あっ、チクチクする」

「お嬢様、失礼します」


 優しくマッサージするように百足が私の腕を撫でたあと、ジャラジャラと鎖が服の袖から出てきた。


「これは? 私の百足がひどく弱っているのですが」

「こ、これはぁ……。アーティファクトだけど、ほら、戦闘用ではない。わよ?」


 桜百肢がジーッと私を見つめる。

 人間に化けている時の桜百肢は和の美人顔なので、怒っている時は少し吊り目になる。綺麗と怖いが両立する。見惚れてる場合じゃないけれども。桜百肢さん怖いが若干勝ってるから……。


「『獣刻印の魔鎖666(ビーストチェーン)』だ。無数の鎖を出現させ、認めた所有者の意のままに動く。極め付けはありとあらゆる異能を無効化する」

「では、お嬢様の〝祝福〟(ギフト)はどうなりますか?」

「当然無効化対象だ。今リリヴェルはそのアーティファクトを扱う以外は何もできん。俺も思い入れのある、リリヴェルのコレクションだ」


 もちろんお空でカンカンに怒った桜百肢のお説教が始まったのは言うまでもない。

 アルドラが余計なことを言うからバレてしまった。手懐けていれば可愛いアーティファクトなのに。


 アルドラサクスも私を危険な場所に行かせたくないのか、説教が始まってからはゆっくりと飛行し出した。


 私はうんうんと頷き、反省しているふりをしながら日傘をさした。

 私はアルビノ体質なので日光などの光に極端に弱いのだ。個人的には真っ白な髪も肌色も、真紅の目も気に入ってる。血統の賜物だから。


 あぁ、桜百肢もアルドラも心配しすぎ!

 もともと攻撃全振りのパーティなんだから、わざわざ私狙われないって!

 囮なのもろバレだから、私!

この作品が面白いと思ってくださった方は、ぜひキラキラなお星様⭐️⭐️⭐️や『いいね』をお願いいたします‼️

また、感想をいただければ作者の励みになるので何卒よろしくお願いいたします‼️

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