第26話 アリエスの真実
アリエス2日目の朝。
僕たちは約束の時間少し前に、宮殿を訪れた。
グレイセスの王城とは雰囲気がかなり違うが、歴史の深さと美しさは負けていない。
門を潜ると庭園が広がっており、左右に1つずつ大きな噴水がある。
まるで出迎えてくれているかのようだが、果たして……。
胸中で警戒を強くした僕は、目を向けずに意識だけで周囲を探った。
庭園には巡回している王国軍の兵士が見受けられるのだが、こちらをチラチラ見ている者もいる。
『輝光』一行とは言え余所者に違いはないので、当然と言えば当然かもしれないが、それだけではないような気がした。
その考えは僕だけじゃなく、姫様たちも思うことはありそうだ。
しかし、それを口にするほど軽率な者はおらず、姫様が率先して呼び掛ける。
「女王様は奥でお待ちです。 行きましょう」
姫様の言葉に従って、僕たちは宮殿の中へと向かった。
その間も兵士たちから視線を感じたが、黙殺する。
そうして玉座の間に入った僕たちの目に飛び込んで来たのは、3人の美しい女性。
向かって右側に立っている女性は、肩より少し長い紺色髪で、敏捷性を重視した軽鎧を装備していた。
『剣技士』らしく、腰には剣を佩き、左手には盾を装備している。
厳しい眼差しを向けて来ており、どう見ても友好的とは言えない。
対する左側の女性は、同じく紺色の髪を長く伸ばし、身に纏っているのは動き易そうな軽装。
彼女は『弓術士』のようで、背中に担いでいるのは長弓。
温和な笑みを浮かべているが、油断していないことが伝わって来た。
そして、2人の間にある玉座に腰掛けているのは――
「ようこそおいで下さいました、『輝光』と同行者の方々。 わたしは水王国アリエスの女王、エレオノール=アリエスと申します」
柔和な笑みを湛えて、名乗ってくれた女王様。
サーシャ姉さんより少し明るめの水色髪で、緩やかに波打っている。
その頭には華美な王冠を被っているが嫌味な感じはせず、とても似合っていた。
豪華な青いドレスも同様で、彼女に相応しいと思わされる。
まさに、女王様になるべくしてなったような人だな。
3人とも20代半ばから後半くらいに見えるが……国王様たちの例があるからな、何とも言い難い。
密かにそんな感想を抱いていた僕をよそに、丁寧に一礼した姫様が返答した。
「お初にお目に掛かります。 わたしは聖王国グレイセスの姫であり『輝光』でもある、ソフィア=グレイセスと申します。 本日は貴重なお時間を頂き、誠に有難うございます」
姫様の挨拶は、礼を失するようなものではなかっただろう。
だからこそ僕も出来るだけ適切に、言葉を選ぼうとした――が――
「ア、アアア、アリア=クラークでしゅ!?」
「リルム=ベネットよ」
「ルナ」
目を回す勢いで取り乱したアリア。
辺りをキョロキョロ見渡しながら、ぞんざいに言い捨てたリルム。
極めて面倒臭そうに、一言だけ発したルナ。
緊張し過ぎているアリアはともかく、リルムとルナの態度は不敬罪になっても不思議はない。
実際、右側の女性の柳眉は逆立ち、口元がピクピク痙攣している。
明らかに怒っているな……。
思わず溜息を漏らしそうになったが、女王様は楽しそうに笑った。
「クスクス……ソフィア姫のお仲間は、随分と個性的なのですね」
「も、申し訳ありません……」
「責めているのではないですよ? むしろ魔王と戦うのなら、それくらいの方が頼もしく思います」
「そう言って頂けると救われます……」
すっかり恐縮した姫様と、優雅に笑う女王様。
完全に主導権を奪われたな。
別に喧嘩を売りに来た訳じゃないが、なるべくこちらがリードする形で話はしたい。
そう考えた僕は、少しでも流れを引き戻すべく口を開いたが、予想外の反応があった。
「申し遅れました。 僕は……」
「イレギュラー、シオン=ホワイトさんですね?」
「……ご存知だったんですか?」
「選別審査大会のことは、アリエスにも伝わっていましたから。 しっかりとチェックさせてもらいましたよ。 双剣を使う『剣技士』、そして何か別の力も持っていそうですね」
どことなく探るような女王様。
なるほど、グレイセスとアリエスがいくら友好的な関係とは言え、無条件じゃないと言うことか。
どんな人間が姫様に同行するか、調べていたらしい。
他にどんなことを知られているのかわからないが、やはり気を許すことは出来ないな。
すると女王様は、最後の1人に向かって声を掛けた。
「そちらの方は、リベルタ孤児院で働いていた修道女でしたね。 確か名前は……サーシャ=リベルタさんでしたか?」
「え!?」
「うふふ、貴女の貢献の高さはアリエスでも有名です。 いつか、お会いしたいと思っていました」
「そ、そんな、恐れ入ります」
「ですが……リベルタ村のことは残念でした。 皆さんが安らかに眠ることを、祈るばかりです……」
「……ッ! どうして……」
「村に駐留していた王国軍の、定期連絡がなかったのが切っ掛けです。 調べに行かせたところ、惨状を目にしたそうです。 ただ、何が起こったかは把握出来ていないので、よろしければ教えてもらえませんか?」
「……わかりました」
サーシャ姉さんは、事の顛末を語った。
突然現れたレリウスに、他の村民が皆殺しにされたこと。
自分も殺されそうになったところを、僕に助けられたこと。
言葉にするのも辛いだろうに、サーシャ姉さんは最後まで話し切った。
それを聞いた女王様は目を閉じて、大きく息をついてから口を開く。
「そうですか、魔族が……」
「はい……」
「貴女たちがここに来た理由も、わかった気がします」
「女王様、それって……」
「えぇ、ソフィア姫。 そろそろ本題に入りましょうか」
「……かしこまりました」
ここからだな。
姫様と目を合わせた僕は、次いでリルムを見やる。
すると彼女は、魔箱から1本の細い棒のような物を取り出した。
虚空から物を取り出したことに女王様は目を細め、残りの2人は唖然としていたが、一々説明を挟みはしない。
そうしている間にもリルムは準備を進め、3つの小瓶を揃える。
さぁ、どうなることやら。
今後の展開をいくつかシミュレートしながら、僕はリルムに頷いて見せた。
それを受けた彼女も小さく頷き、説明を開始する。
「今から、実験をするわ」
「実験だと?」
「そうよ、ぺちゃパイ」
「誰がぺちゃパイだ!? わたしには、ちゃんとした名前がある!」
「知らないわよ。 名乗られてないんだから」
「この……!」
「落ち着いて、カティナちゃん。 確かに名乗ってないんだから、仕方ないわよ。 おっぱい小さいし」
「姉さんッ!」
「はいはい。 えっと、タイミング的にどうかと思いますけど、ついでだから自己紹介しておきますね。 わたしはユーティ=ルイス。 アリエスのギルド長を任されています。 ほら、カティナちゃんも」
「……カティナ=ルイスです。 アリエスの王国軍で、軍団長を務めています」
2人は僕たちと言うよりは、姫様に対して挨拶をしていた。
どうやら姉妹だったらしい。
そして、右側の『剣技士』が妹のカティナさんで、王国軍の軍団長。
左側の『弓術士』が姉のユーティさんで、ギルド長。
アリエスの王国軍とギルドの連携が密なのは、彼女たちの仲が関係していそうだ。
そんなことを思いつつ目礼すると、ユーティさんは笑みを返してくれたが、カティナさんには顔を背けられた。
僕は何も言ってないんだけどな……。
そうしてなんとか場が落ち着いたのを見計らって、再びリルムを無言で促す。
僕の合図に対して彼女は肩をすくめつつ、何事もなかったかのように話し始めた。
「この小瓶には、3種類の水が入ってるわ。 1つは光浄の大陸の水、1つはセレナで買った水、1つはアリエスの水路に流れてる水よ」
「……それが何だと言うんだ」
「黙って聞きなさい、ぺちゃパイ」
「カティナと名乗っただろうッ!」
「うるさいわね。 とにかく、続けるわよ。 水の説明はしたから、次はこの棒ね。 これは水質を調べる魔道具で、水に触れさせたらそこに含まれる精霊を可視化出来るの」
「……そのような魔道具、存在しましたか?」
「昨日作ったのよ、女王様。 あたしの名前、聞き覚えない?」
「リルム=ベネット……あ、もしかして『紅蓮の魔女』? 魔道具開発で有名な」
「その呼び方は好きじゃないけど合ってるわよ、ギルド長。 あたしにとっては、こんなのオモチャみたいなもんよ」
「御託は良い。 それで? そのオモチャがどうしたと言うんだ?」
「だから慌てないでってば。 じゃあ、まずは光浄の大陸の水からね」
そう言って小瓶を空けたリルムは、魔道具の先を水に付けた。
すると水の中に光が灯り、鮮やかに彩っている。
最も強い光は青で、他にも赤や緑、黄色などが少量混ざっていた。
魔道具の効果に満足したリルムはニヤリと笑い、女王様たちに向かって言い放つ。
「ご覧の通りよ。 青が水の精霊、赤は火の精霊、緑は風の精霊、黄色は地の精霊ね。 当たり前だけど、ほとんどが水の精霊だったわね。 じゃあ、次はセレナで買った水よ」
別の小瓶を空けたリルムは、同じように魔道具を水に浸した。
その結果、先ほどよりも青の光が強く、他の色は見られない。
このことからも、純粋で上質な水だと言うことがわかる。
それを見た女王様は神妙な面持ちで、カティナさんは厳しい表情、ユーティさんは不安げな顔だ。
しかしリルムは構うことなく、淡々と実験を続ける。
そうして最後に空けた小瓶に、魔道具を入れると――
「これが、この国で起きてる体調不良者続出の正体よ」
水が激しく発光した。
色は青だが、明滅を繰り返している。
まるで、精霊が苦しんでいるかのように。
既に見たことのある僕たちに動揺はなかったが、女王様たちは違った。
諦めたように溜息をついている女王様。
苦々し気に表情を歪めているカティナさん。
辛そうに眉を落としているユーティさん。
彼女たちの反応を見た僕は、確信を抱いて問を投げる。
「女王様たちは、知っていたんですね。 アリエスの水が汚染されていることを」
「……はい」
「エレオノール様!」
「良いのです、カティナ。 ソフィア姫が訪ねて来ると聞いたときから、こうなることは予想していました」
「女王様が他国の水を支給したことを、船員たちに聞きました。 それは、汚染された水を使わせない為ですね?」
「ご名答です、シオン=ホワイトさん。 しかし、それにも限界はあります。 この件は、一刻も早く解決しなければなりません」
「と言うことは、調査は進めているんですか?」
「勿論です。 ……と言いたいところですが、大きな問題が立ちはだかっています」
「エレオノール様! これ以上、他国の者たちに事情を話す必要はありません! 我々だけでも、必ずや……」
「いい加減にしなさい、カティナちゃん。 今はプライドに拘ってる場合じゃないでしょ?」
「姉さん……でも……」
「カティナちゃんが、アリエスを大事に思ってることはわかってるわ。 だからこそ、今は女王様に任せましょ?」
「……申し訳ありません、エレオノール様」
「気に病まないで下さい、カティナ。 貴女の気持ちは、確かに受け取りました」
落ち込みそうだったカティナに笑い掛けた女王様は、気を取り直すように僕と相対した。
真摯な眼差しを真っ向から見返し、僕も本心をぶつける。
「女王様が国民に真実を打ち明けないのは、過度な混乱を避ける為だと考えています。 アリエス……いえ、清豊の大陸にとって水は単なる資源ではなく、生きる上で本当の意味での拠り所。 そこに問題が生じたとなれば、ちょっとやそっとのことでは済まないでしょう。 それこそ、他国に付け入る隙を与えることにもなりかねません」
「貴様……脅すつもりか?」
「そんなつもりはありませんよ、カティナさん。 僕はただ、事実を確認したいだけです」
「シオン=ホワイトさん、貴方の言う通りです。 わたしたちに猶予は残されていません」
「では、聞かせて下さい。 立ちはだかっている大きな問題と言うのは、何ですか?」
僕の踏み込んだ問い掛けに女王様は数瞬瞑目し、カティナさんを見やった。
対するカティナさんは悔しそうに俯いたが、すぐに顔を上げて声を発する。
「……汚染の源は、既に判明している。 地下水路の最奥だ。 浄化する為の解毒薬も用意してある」
「それでも解決出来ないと言うことは、その源に何かあるんですね?」
「あぁ、魔族がいる。 相手はたった1人だが……我が軍の精鋭でも歯が立たないほどの手練れだ」
「なるほど……。 その魔族の特徴はわかりますか?」
「銀髪のオールバックに真紅の瞳、メガネを掛けている。 高身長の老人で、武器はレイピア……それくらいだな」
「レリウス……」
「何?」
「その魔族の名前は、レリウスです……」
「リベルタ村を襲った魔族か……」
「はい……」
「そうか……」
カティナさんが語った魔族の特徴を聞いて、サーシャ姉さんが割って入った。
今度こそ確定だな。
此度の騒動を引き起こしたのは、レリウス。
それならば、やるべきことは決まっている。
「カティナさん、その場所に僕を案内して下さい」
「貴様を? わかっているのか、相手は魔族だぞ? それも、恐ろしく強力な」
「だからこそです。 中途半端な戦力を送るくらいなら、僕だけの方が良いでしょう」
「……随分と自信があるようだが、それを証明することは出来るのか? 言っておくが、双剣が使える程度でどうにか出来る相手ではないぞ?」
仕方のないことではあるが、カティナさんは僕の実力を疑っている。
しかし、ここは辛抱強く説得するしかない。
そう考えた僕は、なんとか言いくるめるべく口を開こうとして――
「お兄……シオン様なら、大丈夫です! 絶対、誰にも負けません!」
意外なところからの、援護射撃。
思わぬ大音声に驚いて振り返ると、全員がアリアに注目している。
ハッと我を取り戻したアリアは恥ずかしがりつつ、僕を真っ直ぐに見つめていた。
そんな彼女に苦笑を浮かべた僕は、もう1度カティナさんに言い募る。
「アリアの言う通り、僕は負けません。 ですから、任せて下さい」
「……ふん。 いくら仲間の信用があったところで……アリア?」
「え?」
尚も拒否しようとしたカティナさんだが、遅ればせながらアリアの名前に引っ掛かりを覚えたらしい。
当のアリアは困惑しており、素っ頓狂な声を上げている。
するとカティナさんは、おとがいに手を当てて、ぶつぶつ言い出した。
「グレイセスのアリア……アリア=クラーク……『剣の妖精』!?」
「へ!?」
「あ、貴女があの、『剣の妖精』なんですか!?」
「え、えぇと、その……」
「良くわかりましたね、カティナさん。 そう、彼女はグレイセス最強の『剣技士』、『剣の妖精』本人ですよ」
「ソ、ソフィア様!?」
「本当に実在していたなんて……。 あ、あの、よろしければ手合わせを……」
「カティナちゃん? 思い切り脱線してるわよ?」
「は! コホン……『剣の妖精』が認めるのならば、仕方ない。 貴様を連れて行ってやろう。 そ、その代わり……」
「……アリア、事態が終息したら手合わせしてやれ」
「は、はい、シオン様……」
「良いのか!? 感謝する!」
感激したようにガッツポーズを取るカティナさん。
良くわからない方向ではあるが、着地点には辿り着いたらしい。
こうして僕は、地下水路に向かうことになったのだが――
「わたしも連れて行って下さい」
凛とした声が玉座の間に響く。
姫様たちは目を丸くしていたが、僕は平然と聞いた。
「付いて来れるのか、サーシャ姉さん?」
「迷惑は掛けないわ」
「わかった」
「ち、ちょっと待て! 勝手に決めるな!」
「大丈夫ですよ、カティナさん。 彼女は責任を持って、僕が守ります」
「しかし……」
「お願いします。 わたしはどうしても、レリウスの最期を見届けたいんです」
「……勝手にしろ。 わたしは知らんからな」
「有難うございます」
明後日の方を向いて了承したカティナさんに、深く頭を下げたサーシャ姉さん。
この展開に関しては、ある意味予想通りだ。
そして、このあとに起こるだろうことも、大体わかっている。
だからこそ僕は、先手を打つことにした。
「女王様、アリエスの守りは万全ですか?」
「……正直に申し上げて、充分だとは言えません。 この件に対して王国軍の力を注いでいるので、今はギルドに頼っている部分が大きいです」
「ギルド長のわたしがここにいるのは、その打ち合わせがあったからなのよ」
「だそうです、姫様」
「……シオンさんは、何でもお見通しですね。 つまり、わたしたちは付いて来ず、アリエスを守れと言いたいのでしょう?」
「そんな偉そうな言い方をするつもりはありませんが……言いたいことは間違っていません」
「ま、相手が魔族なら、そう言うこともあり得るわよね。 カスールでも、そんな感じだったし」
「今度こそ負けません……」
「ソフィア姫……リルム=ベネットさん……アリア=クラークさん……アリエスの為に力を貸して下さるのですか?」
「ずっとじゃないわよ、シオンが帰って来るまでの間だからね?」
「……恩に着ます」
「別にいらないわよ」
プイッと顔を背けるリルム。
彼女は魔族を許せないだけだと言うかもしれないが、心のどこかにアリエスを守りたい気持ちがあるように感じた。
方針を決めた僕たちは、それぞれの持ち場に向かう。
姫様たちはユーティさんの指示に従い、街の構造を把握したあとに要所を任されるらしい。
一方の僕とサーシャ姉さんは、カティナさんの準備が整い次第、地下水路に出発する段取りだ。
その待ち時間を、別室で過ごすことになったのだが――
「シオン」
背後からルナに呼び止められた。
先の話し合い中、ほとんど口を開かなかった彼女が今更になって何の用だろう――などと思うことはなく、見当は付いている。
無言で先を促した僕に向かって、ルナは鋭い声を発した。
「これがラストチャンスよ。 今回の戦いで結果を出せなかったら、乳女は置いて行くわ。 文句はないわね?」
「わかっている」
「本当に? 特訓を始めてから、1度も戦闘に参加していないのよ? 今までは敢えて何も言わなかったけれど、それもここまでだから」
「心配するな、特訓の成果は必ず出す」
「……良いわ。 貴方がそこまで言うなら、少しは期待してあげる」
「有難う。 ところで、礼の件はどうだ?」
「今のところ、何とも言えないわね。 貴方の勘違いではないかしら?」
「それならそれで構わない。 引き続き、よろしく頼む」
「はいはい、わかったわよ。 じゃあ、頑張ってね」
「あぁ、ルナもな」
「わたしは適当にするわよ」
手をヒラヒラ振りながら、歩み行くルナ。
そんな彼女を苦笑交じりに見送り、表情を改めて待機場所を目指した。




