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三分置きに三度水を飲む。


 月ヶ丘公園。此処は都内にある広大な公園。廻りには様々な施設が隣接している。ショッピングモール、総合病院、スポーツ施設、リゾート施設。高等学校。近くには海があり、潮の香りが風に紛れて運ばれてくる。その広大な公園の隅にある公衆トイレに、上杉直哉うえすぎなおやは足を運んでいた。時刻は深夜2時である。


 上杉は電話相手に指示された、無駄に大きな公衆トイレの中央にある多目的トイレに居た。広大な敷地の最奥にある此処は、昼間でも滅多に人が来る事はない。丑三つ刻となれば尚更なのであろう。しかも上杉は指示された通りに目隠しをしているのである。自身の姿を想像し【滑稽だな】と思いながらも、非日常的な空間に身を委ねている。


 コンコンコン。とドアをノックする音が聞こえた。目隠しをしている所為か、矢鱈と音が響いている気がする。暫し、沈黙が訪れ、再び音がコンコンコンと産まれる。また沈黙が訪れ、そして、もう一度、コンコンコンと音が産まれた。上杉は手を当てていた【開】のぼたんを押す。


 扉が開く音が耳に届くと、人の気配が近付いた。独特な匂いが微かに鼻をかすめた。この匂いには、覚えがある…。多分、コレは【ガソリン】の匂いだ。


 「お待たせしました。約束通り、目隠しをしてくれていたのですね。」

 若い女性の声が耳を撫でる。


 「君が指示したのだろ?」


 「大半の人は約束を守りませんから…。貴方は純粋な方なのですね。貴方には特別にサービスします。ですので、コレから三分置きに三度水を飲んで下さい。」


 それから…。

 若い女性の声が何かを呟くのを…。

 上杉は耳にした。

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