3/9
三分置きに三度ノックをする。
「条件があります。」
電話越しから若い女性の声が聞こえた。
「条件ですか?ソレはどんな…。」
別に答えが聞きたかった訳では無かった。話の流れから聞く方が自然だと思えたからだ。
「私、顔を見られたくないので、目隠しをお願いします。」
「えぇ。別に構いませんよ。でも、ソレでは待ち合わせても…。」
顔は見れなくても良かった。そもそも容姿なんて関係無かったのだ。これば一時の戯れの様なモノで、私は少しの【変化】を求めているだけだ。
「ソレは気にしなくても大丈夫です。逢う場所はそのトイレ。逢う時間も丑三つ時ですし、その時には三秒置きに三度ノックをします。ソレが合図ですので、そうしたら鍵を開けて下さい。後、金銭的なお話なのですが、用意して下さった金額でサービスが変わりますので…。」
若い女性の声が耳に触れる。
「分かりました。」
「では…。後程…。」
ソコで通話が終わった。触れてはイケない禁忌に触れてしまったかの様な錯覚に、私の鼓動は高鳴っていた。