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(一)-11
「ちょっと見てくるよ」
信雄は立ち上がった。入口とは反対側の、キッチンがある方に出入り口の方へ向かった。露天風呂につながる廊下がある方だ。
途中で腕を引っ張られた。信雄の左腕に誰かがしがみついていた。
信雄が振り返ってみると、蘭子であった。しかもその背後にはビーズソファを抱えた瑞穂がついてきていた。
「置いていかないでよ」
「ちょっと見に行くだけなのに」
「だって、怖いんだもん」
蘭子がそう言うと「私も行く」と小さな声で瑞穂が言った。
そうして信雄たち三人は、悲鳴が聞こえた原因が何か、探しに向かった。
(続く)