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一人

とある町外れの森の中に小さな家が一つ立っておりました。家の中には一人の少年とすっかり年老いた少年のおじいちゃんが仲良く暮らしておりました。少年の名前はレン。彼は、とても明るく、元気な少年でした。彼の両親は遠い遠い別の場所でお仕事をしています。彼のおばあちゃんは少し前に病気で亡くなってしまいました。なので、今はおじいちゃんと二人で過ごしているのです。おじいちゃんは、昔は町の方で皆を支えるえらいお仕事をしていました。

 ある日のことです。おじいちゃんはレンがいつも自分としか過ごせていないことを心配し、レンに話しかけました。

「レン。町に行ってお友達と遊びに言ったりはしないのかい?」

「お友達なんていないよ。それに、どうすればそんなのできるのかもわからないし、僕はおじいちゃんと二人で過ごしている時間が一番好きだからさ。」

「・・・そうか。」

 しかし、おじいちゃんはしばらくして天国に行ってしまったのです。

「・・・おじいちゃん。」

 レンは深く悲しみました。しばらくの間、彼は外にすら出なくなってしまいました。

 そんな日が続いたある日のことです。レンはおじいさんのいたお部屋を掃除していました。すると、おじいちゃんの机の上に手紙が置いてありました。なんだろうと思って、レンはその手紙を開きました。その手紙には、おじいちゃんが書き残した手紙と、地図のような紙が一枚ずつ入っていました。その手紙には、おじいちゃんがレンのために、お宝をここに隠したことが書いていました。隠した場所は、地図に大きなしるしがついていました。

「おじいちゃんが僕に・・・・」

 レンはすぐに出発しました。お気に入りの水筒と、おじいちゃんの残した地図を頼りに

、お宝探しに出発しました。

 しばらくの間歩いていると、道端に倒れている親子を見つけました。どうやらお母さんがとても苦しそうです。すると、レンのいる目の前で倒れてしまいました。

「大丈夫ですか?」と声をレンがかけます。お母さんは「水を・・・・水をください・・・。」と言いました。レンはすぐにお水を水筒から取り出して、お母さんに飲ませました。

「・・ありがとうございます。」

お母さんは水を飲むと、何とか立ち上がりました。レンは、「いえいえ、ほっとくなんてことはできませんので!」と言いました。

そして、すぐにまた出発しました。また、しばらく歩いていると、今度は青い風船が飛んできました。レンは誰かが探しているのかもしれないと思い、木に登って何とか青い風船を捕まえました。すると、どこからか声が聞こえてきます。

「あっ、僕の風船!」

 声が聞こえた方を見てみると、小さい男の子が立っていました。レンが「君の風船なの?」というと、男の子は「うん!」と元気良くうなずきました。

「次からは気を付けるんだよ?」

 レンはそういうと、男の子に青い風船を渡しました。男の子は嬉しそうに笑いました。

 レンはまた、お宝探しに出発しました。レンはその後も、多くの人達を助けました。おいしそうな実を食べようとしていた女の子のために、その実をとってあげたり、ケガをしていた二人の男の人と女の人に手当てをしてあげたり、たくさんの人たちを助けました。

 そして、ついにレンはお宝がある場所にたどり着きました。そこは、きれいなお花が咲きほこっていました。そして、その花たちの中には、小さな箱が置いてありました。レンは、その箱を勇気をもって開けました。しかし、箱の中には何も入っていません。

「・・おじいちゃんは嘘をついたの?」

 レンはがっかりしました。もう空は暗くなっていて、そろそろ家に帰らなければいけない時間でした。レンも、そのことを思っていたので、さっきまで歩いていた道のりを戻ろうとしました。その時です。

「レン君!こっち見て!」と、大きな声が聞こえました。見てみると、たくさんの人たちがレンの後ろに立っていました。その人たちはレンが助けた人たちでした。聞いてみると、レンのおじいちゃんが町の人たちにレンとお友達になってほしいと、お手紙で伝えてくれたのだといいます。そして、レンがどんな少年かを知るためにレンに助けられるふりをしていたのです。おじいちゃんがレンに送ったお宝はお友達だったのです。

「・・・おじいちゃん。ありがとう!」

 彼はもう、孤独ではありませんでした。



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