表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/6

なんでそんな目で見つめられるのか、それがわからない。

「く、黒田くん……」


 うるうるした瞳で見つめてくるその女子生徒は。


 ――大山里穂。


 いわゆる《陽キャ》に属する女子生徒で、校内でも知らぬ者は少ない。


 特筆すべきは、まずその美貌。

 透き通るように白い肌、やや勝ち気そうな瞳、桜色に濡れる唇。入学式でいきなり告白されたという噂も飛び交うほどの美しさだ。

 身長はやや低めだが、それに反して胸部は反則級に大きい。そういったところも、彼女を人気たらしめている要因のひとつだと思う。


 そんな大山の様子が……明らかにおかしい。

 いつも強気で、男子さえぶっ飛ばしてしまうほど気丈な人なのに、下を向いてもじもじしちゃってる。


「ど……どうしたのかな。大山さん」


 とりあえず僕は彼女に訊ねてみる。


 ――僕は、本気であなたが好きだった――

 さっき、ちょっと恥ずかしいセリフを口走っちゃったからな。あれに不快感を与えてしまったのだろうか。


『……ちょっと雅之様、この人って……』


 隣のユリィが敵対心丸出しで呟く。

 ちなみに現在は隠蔽魔法が発動されているので、彼女の姿・声は大山に届いていない。


『さっき雅之様に嘘告してきたポンコツ女じゃないですか!! とっとと始末を――』


『おい、やめろ』


 始末って。

 いったいなにをするつもりだ。

 日本でいきなり魔法をブッパしたら色々と騒ぎになるぞ。


『余計なことするな。面倒事には巻き込まれたくない』


『うぅ……雅之様がそう仰るなら』


 ちなみにだが、このやり取りも大山には聞かれていない。

 僕のは、念話魔法で直接ユリィに届けている。大山には一切聞こえていないはずだ。


「さっきの……本当なの? 私のことが好きだったって……」


「ああ。それは本心さ。心からの気持ちだよ」


『ちょっと雅之様!?』


 隣のユリィがギャーギャーやかましいが、とりあえず放っておく。


「だから、夢を見せてくれてありがとう……ってことさ。あれがたとえ嘘の告白であっても、それでも……あの一瞬だけは嬉しかった」


「嬉しかった……」


 僕の言葉を反芻する大山。


『なに恥ずかしいことを平然と言ってるんですか!?』


『恥ずかしいって。本音を言ってるだけなんだが』


『…………雅之様、そう言うところ、本当に変わりませんね……』


 変わらない?

 意味がわからないので、僕はやはり彼女を放っておく。


「……正直、びっくりした。私、黒田くんに嘘告したんだよ? なのに、あんなこと言ってくるなんて……」


「はは……そんなことか」


 たしかに心に刺さるものはあったが、しょせんは嘘の告白だ。

 前世で血塗られた戦いを散々見てきた僕にとって、あれしきで取り乱すことはない。


 むしろ。

 感謝の気持ちを伝えきれぬまま、敵に殺されていった仲間たちを何人も見てきた。後悔してもしきれないほどに。何度も涙を流してきたほどに。


 だから。


「別にいいさ。そういうところも含めて好きだったんだ。それくらいは別にいいだろ?」


「く、黒田くん……」


『わ、私はいったいなにを見せられているんでしょうか……』


 目を見開く大山に、ため息を吐くユリィ。


「そうだ、黒田くん」

 ふいに大山がスマホを取り出す。

「よかったら……連絡先交換しよ? 黒田くんが嫌じゃなければ……」


「は……?」

 なんでだろうか。

「別にいいけど……僕のこと嫌いっていってなかった?」


「嫌いよ! 大嫌い! だけど……だけどッ!!!」

 それ以上はなにも言わず、顔を真っ赤にしてスマホを差し出してくる。

「わかんない! 私でもなに言ってるかわかんないけど……連絡先交換しようよ! ほら!」


「お、おう……」


 謎の圧力を感じ、僕もスマホを取り出す。


 周囲の気配を探るも、亮太たちが潜んでいる様子はない。

 つまりこれは嘘告の類じゃない。

 なんでだろうか。ますます意味がわからない。


『むぅ……』

 隣では、悔しそうに唇を尖らせるユリィ。

『連絡先交換……よくわからないですけど、なんだか先を越された気分です……。私も急がなきゃ……』


 わけのわからないことを呟いている聖女様だった。


【恐れ入りますが、下記をどうかお願い致します】


すこしでも

・面白かった

・続きが気になる


と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後とも面白い物語を提供したいと思っていますので、ぜひブックマークして追いかけてくださいますと幸いです。


あなたのそのポイントが、すごく、すごく励みになるんです(ノシ ;ω;)ノシ バンバン


何卒、お願いします……!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] なんでやねん
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ