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憧れは遠く (プロローグ)
小さい頃の夢を思い出していた。
悪人達が僕達の平穏を脅かそうとする時、颯爽とヒーローが現れて、悪党ともを必殺技でやっつけてくれる。
そして、その後に優しく言うんだ。
「もう大丈夫だよ、だから安心して」
あの頃は信じていた。
きっと自分が本気で助けを求めた時には、そんなヒーローがやってきてくれる。
だから、大丈夫だって…
でも、現実はもっと残酷だった。
本当に助けが欲しい時にやってくるのは光り輝く希望ではない。
どこまでも暗く深い絶望である。