表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まちかどガチャ師 千夜子さん ~引けた引けない以外のお話しませんか?~  作者: かえる
Tap1【ガチャと縛り】何も出ないガチャなんてありません!
3/14

Tap1-3

「救った世界の数?」

「はい。ソシャゲはそれぞれ、ゲームの中に世界が存在しますよね。ちゃんとその世界が救われるまでプレイしたものって、ユージさんは何作ありますか?」


 千夜子(ちやこ)さんがまっすぐに俺を見て、目を輝かせている。

 世界を救うまでプレイしたソシャゲ……。


「ええと、一旦救ったけど第二部が始まったりしたやつは?」

「あ、それは救ったほうにカウントしていただいて大丈夫です。そのあと何やかんやあったにしても、ユージさんがそこで救ったぞという気持ちになったならOKということで」

 俺の主観で、ということかな。

 じゃあ――とすこし考え、


「ふたつ……くらいかも」

「ですよねー」

 うんうん、と頷いている。

(わたくし)も結構ソシャゲ遊ぶほうなんですけど、ほんっと、長続きしないんですよ。いろんな世界で巻き起こっている諸問題を他のプレイヤーさんたちに任せちゃって、ごめんなさいとは思うんですけど」

 そう言って上目づかいでこちらを見てから、舌先をいたずらっぽく出し、

「私の時間もお金もかぎられていますからね。なんか飽きたな~と感じたら次の世界を探す旅に出るのです」


 なんて身勝手な勇者だ。

 ま、でもソシャゲなんてそんなもんだよな。

 毎年星の数のようにサービスが開始され、そのほとんどが俺のスマホにはインストールされることなくサービス終了となる。何かのきっかけでインストールしたとしても、千夜子さんが言うように、ほんの軽い気持ちでアンインストールされてしまうのだ。


「でも、ユージさんは2年以上もそのソシャゲをプレイされているんですよね?」

「2年どころか、もう5年だよ」

「羨ましい~!」

 椅子に座ったまま両脚をジタバタ。占星術師みたいな風貌をしているので違和感が激しいが、感情表現がとても豊かな人らしい。


「たしかに5年は結構すごいかもな」

「すごいですよ~。小学校でもあと1年で卒業というところです。ちっちゃかった1年生も、もうすっかりお兄ちゃんになりましたね」

 その例えはどうかと思うけど。

「千夜子さんが言いたいことはなんとなくわかったよ。いっぱいあるソシャゲの中から、これだけ続けて遊べるものに出会ったのがすごいってことだろ?」

「はい♪」

 よくできました、とばかりに手を叩くが、ぴたっと止まり、

「じゃあ――」


「その壊れキャラを引けなかった2年前からのプレイスタイルを教えてください」


 これまでと空気が変わった。

 ここからがガチャ師の仕事、つまりは本題ということになるのだろう。

 1000円(税込)感がひしひしと伝わってきて、俺はこれからしばらくの食事を激安スーパーの9円うどん玉中心に回していくことを覚悟した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ