表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/18

水曜 12:30

 翌日の昼休み、僕は猫柳(ねこやなぎ)さんと一緒に二年校舎の屋上前階段を訪れた。


「オッ来たな、新人!」


 冷子(れいこ)先輩が明るく声を上げる。猫柳さんは昨日のように、枕を置いて丸まった。


「どうした? 浮かない顔だな」


 (くさび)先輩が言う。誰のせいですか。


「目を覚ましたら、ブレスレットがありました。それで、夢じゃなかったんだなあ、と思いまして」

「ンで変身の方法を聞きに来た、っつーワケだな」

「ちがいます。もらう意味が分からないんです」

「それは二指(にし)以上の指紋認証と声紋認証、それにキーワードが加わって変身する」

「つまり渡されたヤツが、(さわ)りながら登録してあるキーワードを言えばいいンだよ」

「あの……話を聞いてましたか?」


 変身する方法を聞きに来たんじゃないんですってば。


「そもそも、いつ僕の登録を済ませたんですか?」

「この情報化社会じゃ、プライバシーなんて有って無いようなものだ」

「また盗んだんですか」

「盗むだなんて人聞きの悪い……」


 否定してください。


「オメーはオレのもの!」

「なんか言葉足りてないんですけど!?」

「いいじゃねえか、オレみたいな美人にかまってもらえてよ」


 今さらだけど、なんかアレだな。この人。

 イラッとするな。


「さて本題だ」


 楔先輩は声色を変え、急に深刻なトーンで話し始めた。


「行方不明事件だが」


 最近、街で話題になっている事件だ。三人も捜索願が出ている。


「昨日は委員会をやっつけたみたいですから、被害者はいなかったんじゃないですか?」

「いや、昨日も一人消えている」


 まさかニュースになっていないだけで、実は結構な人数が行方不明になっているのか?


(さっ)しがいいな、その通りだ」


 楔先輩が僕の顔色を見て答える。


「昨日は(した)()を倒しただけ、おそらく実行犯は別にいる」

「街のウワサといえば、幽霊が出る話もありますよね。何か関連性があるんでしょうか?」


 僕が提案すると、周りの二人が吹き出した。


「なんです? 僕、何かおかしいこと言いました?」

「そりゃネネだ」

「猫柳さん?」

「彼女は自宅の屋上で変身していた」

「猫柳さんもメンバーなんですか?」


 僕は変わらず丸まっている彼女を見た。


「でなきゃココにいねえし、こんな話するかよ」

「人目につく行動だから、以前から辞めるよう注意はしていた」

「屋上で変身。ンで飛び降りて出動、と」

「あの高さから飛び降りて、無事で済む人間はいない。そして翌日の事件にも上がらない」

「ンで見たヤツが、『幽霊だ!』ってなっちまったンだろ」


 やれやれ。真一(しんいち)ともども、僕らは勝手に踊ってただけか。


「ウワサのせいで、彼女は見張られていると考えるのが妥当(だとう)だ。一般人すら目に()れやすい。よって、しばらく動かない方がいい」

「事件の方はどうすンよ?」

「新人の顔合わせと作戦会議が必要だな、夜に『工房』まで来てくれ」

「リク、オメーもだ」

「え……」

「イヤそうな顔すンじゃねえよ」


 イヤなんですよ。

 カンベンして下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ