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月曜 21:30

 放課後、帰宅部かつヒマ人である僕と真一(しんいち)は、約束通り幽霊マンションへ行くことに。コンビニで夕食を買い、図書館で時間を潰し、マンション近くの公園で夜を待った。真一の両親は高等を迎えた途端に人が変わり、わが父母を超える放任主義になったので、二人とも時間を気にしない。しかし、どうして友達とは、なんでもない会話を無限に続けられるのか。あっという間に時間が過ぎてしまった。


「ホントに幽霊なんて出るの?」


 僕は(くだん)の幽霊が飛び降りるマンションを見上げた。普通のマンションと何も変わらない。六階建てで古くも新しくもなく、人も住んでいる。怖い気配は微塵も無かった。なんか拍子抜けだ。


「出るって」


 公園のブランコに座る悪友は、ニヤニヤしながら両手を合わせつつ目を輝かせている。


「あー、見たい」

「わかったわかった」


 わざわざ背筋を凍らせてどうしたいのか、しかしそこは友人だから何も言わない。ああ、なんて友達思いな僕なのだろう。ともあれ表情の変化はどうしようもない。(なか)(あき)れ顔で彼を眺めていると、当の本人が声を上げた。


「あれ、うちの制服じゃない?」


 見ると、たしかに天成学園(てんせいがくえん)の制服を着た生徒が歩いている。


 あの姿は昼間に見たな。

 猫柳(ねこやなぎ)、さんだっけ?

 

 あまり言葉を()わしたことは無かったけど、朝の凝視が目に焼きついている。二人で眺めていると、例のマンションに入って行った。って、えっ?


「げっ」


 真一も驚く。同級生が住んでいるとなると、途端(とたん)に何か悪いことをしている気分になる。朝の射抜くような視線も、もしかしたら会話を聞いて嫌な気分になっただけかもしれない。


「ま、まあいいじゃん。もうちょっと、さ」


 彼は待った時間をムダにしたくないのか、なかなか食い下がる。残念ながら、人は悪乗りする人物を見ると一瞬で冷めてしまうものだ。


「もう帰るぞ」

「ちょ……あれ!」


 屋上から、誰かが飛び降りた。

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