金曜 7:50
結局のところ眠ってしまった猫柳さんを家まで送り、ろくに眠らず登校している。正直な話、眠くて眠くて仕方ない。自転車がフラフラしているのが分かる。
「アブね! リク、しっかり運転しろ!」
正門で大声に振り向くと、響子先輩が駆け寄ってきた。
「オメー、大丈夫か?」
「どうして……そんなに元気なんですか……」
「人って、限界を超えるとハイテンションになるよな!」
つまり現在のアナタは、すでに限界を超えているのですね。
「おはよう」
横から楔先輩も合流する。顔が見えないこの人にいたっては、疲れというものが分からない。しかし、この二人が来れば、いつものようにうるさくなりそう。
「……しかしよ。グリーンも復帰して、次あたりピンクじゃねえか?」
「ああ、忘れてたな」
「ちなみに男子でもオッケー!」
「そんなピンク嫌だ!」
その日の午前中は、本当によく寝た。もちろん学校で。普段はマジメに授業を受ける僕でも、今日ばかりは人生にこれ以上ないくらい、もうドップリたっぷり惰眠をむさぼらせていただきました。不思議なことに、教師は猫柳さんばかりでなく僕も注意しなかった。
……え?なんで?