木曜 1:10
部屋で緊張しながら待っていると、どうにも時間を長く感じる。何を始めても呼び出されては中途半端になってしまいそうでソワソワしていた。じっとしてても、とっくに手の中は汗でビショビショだ。
「まだかな。今日は何も無いのかな」
実現するよう声に出しても、流れる時間は変わらない。休みは短いのに、どうしてこういう時間は長いのだろう。
その時、手元に置いていた小型電信が鳴った。
「はい!」
「……たすけて……」
この声は、真一か?
「どうしたんだ?」
少しホッとしながらも、僕は友人の言葉に異変を感じた。呼吸音が激しい。
「知らないやつらに追っ掛けられて……る……やば……い……」
まさか、行方不明事件の標的にされてるのか?
「すぐ行く!」
僕は靴を足に引っ掛け、外に飛び出した。
「今どこだ!」
「……おま……えの……家に……ちか……づいて……」
聞いた情報から近くの路地まで走る。
くそ!
足が遅い!
なんでもっと速く走れないんだ!
「変身!」
とっさにブレスレットを掴み叫んだ。
「変身!」
なんで変身しないんだ!
「変し……くそぉ!」
こんなことなら、キーワードを聞いておけばよかった!
キーワード……?
なんだ、僕は、何か……。
いや、今はそれどころじゃない!
「真一!」
路地にたどり着くと、肩で息をする真一が座り込んでいた。
「大丈夫か!」
「ああ……なんとかまいたよ」
「そ、そっか……」
結局、その夜は先輩から連絡もなく終わった。