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名画座にゆこうか

黒木和雄「とべない沈黙」:1965年8月の広島など

作者: あめのにわ

シネマヴェーラ 黒木和雄「とべない沈黙」1966年。これはおもしろかった。


ナガサキアゲハの幼虫(芋虫)を狂言回しに、オムニバス的にいくつかの淡いエピソードが展開し、加賀まりこがそれぞれのエピソードで様々な「運命の女」を演じる。ほぼ全編ロケの作品である。


ATGらしい雰囲気だが、セリフで説明する部分が少なく、ほぼ映像イメージだけで展開してゆくところは見応えがある。また、各地でのロケも面白い。これはドキュメンタリー出自の監督の腕前であろうか。


広島のエピソードでは、子供の頃に被爆した少女が成長して東京から戻ってくる。どうも原爆症を発症したらしい。それを追いかけてくるボーイフレンド。まるで こうの史代「夕凪の街・桜の国」の元型のようなエピソードである。


広島の平和記念式典のドキュメンタリー映像とからみつつ物語がすすむ。式典は公開前年、65年のものだろうか。


さらには原爆スラムのロケも織り込まれている。岩田正実「貧困の戦後史」をみると原爆スラムの撤去は68年頃のようなので、撤去される数年前の風景ということになる。


その他のエピソードでは60年代の大阪地下鉄の車内や駅構内風景なども興味深い。後半、麻薬取引がらみのギャング映画のような展開となるが、これは悪い意味でATGっぽく古びてしまっているように思えた。冒頭の北海道シーンでトーテムポールを作っているのはアイヌの老人ということなのだろうか。


松村禎三によるテーマ音楽は印象的で良い。音響面ではディレイなどのエフェクト処理もあるが、音響効果のクレジットはない。松村の仕事なのだろうか。劇中歌は山本直純だったと記憶する。

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